壁断面の選定

 

 

解析を実行して得られた結果と設計用の入力情報を利用し、各種の設計規準に従ってコンクリートのせん断壁の断面選定を行う機能です。

適用可能な設計規準は、次の通りです。

日本建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準(AIJ-WSD91)

アメリカコンクリート学会の鉄筋コンクリート構造計算規準(ACI318-89)

アメリカコンクリート学会の鉄筋コンクリート構造計算規準(ACI318-95)

アメリカコンクリート学会の鉄筋コンクリート構造計算規準(ACI318-99)

アメリカコンクリート学会の鉄筋コンクリート構造計算規準(ACI318-02)

イギリスのコンクリート構造設計基準(BS8110-97)

ヨーロッパのコンクリート構造設計基準(Eurocode 2)

大韓建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準(AIK-USD94)

大韓コンクリート学会のコンクリート構造設計規準(KCI-USD99)

大韓土木学会のコンクリート標準示方書(KSCE-USD96)

大韓建築学会の鉄筋コンクリート構造計算基準(AIK-WSD2K)

カナダコンクリート構造設計基準(CSA-A23.3-94)

中国コンクリート構造設計基準(GB50010-02)

 

 

 

リボンメニュー : 設計 > RC設計 > RC部材選定 > 壁断面の選定

ショートカットキー : [Ctrl]+4

 

 

 

せん断壁の選定計算では、ユーザーが入力した縦筋、横筋及び端部補強筋の中から鉄筋間隔及び鉄筋比を満足する最適な配筋を見つけます。ユーザーが鉄筋情報を入力しなかった場合、縦筋にはD13を、端部補強筋にはD10を、横筋にはD10を使って自動計算します。

 

選定計算にはPM相関図による軸力と、2軸モーメントの組合せ強度比及びせん断力(Shear Force)が最大となる荷重組合せに対する設計結果を出力します。計算は柱部材と同じく部材のI端及びJ端に対して行い、この中から不利な結果を表示します。結果はWall ID単位で出力することができ、(Wall ID別+層別)に出力することもできます。

 

選定結果が許容値を満足する場合は青色で、満足しない場合は赤色で結果を表示します。また、選定結果は使用中の単位系を基に表示されます。

 

AIJ-WSD99 RC壁の断面選定結果ダイアログボックス

 

層別壁ID : せん断壁の層別の壁番号

壁ID (WID) : せん断壁の壁番号

層 : 解析モデルの作成時に入力した層名

選択 : 再計算または結果を出力する部材(せん断壁)を選択します。

壁符号 : せん断壁の壁符号

壁幅 : せん断壁の壁幅

階高 : せん断壁の壁高さ(階高)

hw : せん断壁の壁厚

Fc: コンクリートの設計基準強度

Fy : 縦筋及び端部補強筋の設計用降伏応力度

Fys : 横筋の設計用降伏応力度

CHK : 断面選定の結果の表示(ボタンが の状態の時に表示します。)

= "OK" : 設計用軸力、設計用モーメント及び設計用せん断力が部材耐力以下に納まっている場合

= "N**" : 設計用軸力に対して部材耐力が不足する場合

= "*M*" : 設計用曲げモーメントに対して部材耐力が不足する場合

= "**Q" : 設計用せん断力に対して部材耐力が不足する場合

= "NM*" : 設計用軸力及び設計用曲げモーメントに対して部材耐力が不足する場合

= "*MQ" : 設計用曲げモーメント及び設計用せん断力に対して部材耐力が不足する場合

= "N*Q" : 設計用軸力及び設計用せん断力に対して部材耐力が不足する場合

= "NMQ" : 設計用軸力、設計用曲げモーメント及び設計用せん断力に対して部材耐力が不足する場合

N : 最大検定比となる荷重組合わせ条件時にせん断壁に発生した設計用軸力

= N > 0 : 部材軸方向に圧縮力が作用

= N < 0 : 部材軸方向に引張力が作用

M, LCB : せん断壁に発生した最大設計用正曲げモーメント、及びその時の荷重組合わせ条件

縦筋量 : 縦筋の単位長さあたりの必要鉄筋量を表示します。算定結果が規準の最小鉄筋量より少ない場合は規準の最小鉄筋量が表示されます。端部補強筋は、別途に本数及び配筋間隔を出力するため、この値には含まれません。

Note

せん断鉄筋の必要断面積は単位系によって以下に表示されます。 

単位系がmm, cm, mの場合は各々mm2/m, cm2/m, m2/mで表されます。単位系がin, ftの場合は各々in2/ft, ft2/ftで表示されます。

 

主筋 : ユーザーが入力した縦筋に対して、その配筋間隔を表示します。

選定された縦筋は、次の形式で表示します。

= "Dxx @yyy" , "#xx @yyy"

xxは鉄筋の呼び名で、yyyは配筋間隔(単位: mm)です。

= "Not Use"

設計規準に定められた配筋間隔の制限値よりも小さくなる場合に表示します。

Q, LCB : せん断壁に発生した最大設計用せん断力、及びその時の荷重組合わせ条件

AsH : 横筋の単位長さあたりの必要鉄筋量を表示します。算定結果が規準の最小鉄筋量より少ない場合は規準の最小鉄筋量が表示されます。

帯筋 : ユーザー入力した横筋に対して、その配筋間隔を表示します。

選定された横筋は、次の形式で表示します。

= "Dxx @yyy" , #xx @yyy

xxは鉄筋の呼び名で、yyyは配筋間隔(単位: mm)を表します。

= "Failure"

設計Vsが規準を満足できず、断面を大きくする必要がある場合に表示されます。

 

各国規準のせん断強度式および応力算定式の制限値

 

設計規準

制限値

単位

AIJ-WSD99

鉄筋の必要鉄筋比 : = 1.2%

-

AIK-USD94

鉄筋のせん断強度 : Vs =  

kgf/cm2

KCI-USD03

鉄筋のせん断強度 Vs =

N/mm2

KCI-USD99

鉄筋のせん断強度 Vs =

kgf/cm2

KSCE-USD96

鉄筋のせん断強度 Vs =

kgf/cm2

AIK-WSD2K

発生せん断応力 v =

kgf/cm2

ACI318-02, ACI318-99

ACI318-95, ACI318-89

鉄筋のせん断強度 Vs =

lb/in2

CSA-A23.3-94

鉄筋のせん断強度 Vs =

N/mm2

BS8110-97

発生せん断応力 v =

N/mm2

GB50010-02

耐震設計時

公称せん断強度Vn =

N/mm2

GB50010-02

公称せん断強度Vn =

非耐震設計時

の場合、

の場合、

の場合、内挿法で計算

IS456:2000

発生せん断応力=(下記Note 参照)

N/mm2

 

Note

IS456:2000での は下記表の通りです。

 

Concrete Grade

M15

M20

M25

M30

M35

M40以上

2.5

2.8

3.1

3.5

3.7

4.0

 

設計規準に定められた配筋間隔の制限値よりも小さくなる場合に表示します。

AIJ-WSD99で、鉄筋の必要鉄筋比 ρw = αw/b・x が1.2%を超える場合

AIK-USD94で、設計用せん断耐力Vsが  (単位: kgf/cm2)を超える場合

KSCE-USD96で、設計用せん断耐力Vsが  (単位: kgf/cm2)を超える場合

KCI-USD99で、設計用せん断耐力Vsが  (単位: kgf/cm2)を超える場合

ACI318-89, ACI318-95で、設計用せん断耐力Vsが   (単位: lb/in2)を超える場合

 

端部補強筋 : 端部補強鉄筋についてユーザーが入力した鉄筋径以上鉄筋の中から最適なものを選択し、その配筋間隔を表示します。

選定された端部補強筋は、次の形式で表示します。

= "nn-Dxx@yyy", "nn-#xx@yyy"

nnは端部補強筋の本数を意味し、xxは鉄筋の呼び名で、yyyは配筋間隔(単位: mm)です。

= "Failure"

設計Vsが規準を満足できず、断面を大きくする必要がある場合に表示されます。

 

配筋形状 : 縦筋の配筋段数を表示します。縦筋は常にダブル配筋とします。

共通Control

: 断面選定に適用した規準を表示します。

: 部材番号別の表示では各部材の位置(I, 1/4, 1/2, 3/4, J)及び各荷重組合わせ条件に対するM-N相関図から鉄筋比が最大となる設計用2方向曲げモーメント及び設計用せん断力に対する断面選定結果を表示します。

断面番号別の表示では、同じ断面番号を持つ各部材の位置(I,M,Jにおいて、鉄筋量が最大となる部材を断面番号別に表示します。ここで、’選択’ボックスにチェッをして断面を選択すると、選択した断面を持つすべての部材が選択されます。また、このオプションは1つの部材に対する結果でないために、部材番号は"0"と表示されます。

: 使用単位系を表示します。

: 計算結果を出力する時に、断面番号または部材番号の昇順に整列させて表示します。

:選定された鉄筋量を設計用の配筋データとして自動更新します。

 

更新した配筋データは、断面検定時に使用します。

: すべての部材(柱部材)を選択します。

: すべての部材(柱部材)の選択を解除します。

: 設計結果ダイアログを開いたまま、特定部材の設計変数を再設定して、その部材だけを再設計する際に利用する機能です。断面番号別の表示時は、選択した断面を持つすべての部材に対して再計算します。

Note

部材全体の設計結果に影響を及ぼす設計変数(例えば、コンクリート材料の修正など)を修正する場合は、設計結果が削除されるためにこの機能を利用することができません。

: 断面選定結果のダイアログを詳細に表示します。

: 断面選定結果のダイアログを簡略して表示します。

:選択した柱部材に対する断面選定結果の計算書を出力します。

Note

すべての選定結果と検定結果を画像ファイルに一括に出力することができます。

 

 

:選択した柱部材に対する断面選定の詳細結果をテキストエディタに出力します。 詳細結果は、部材番号別の表示時においてサポートしています。

Note

KBC2005で定義する特別地震荷重組合せと鉛直地震力を適用した部材の場合は、RC部材選定とRC部材検定の詳細結果で、"結果 > 荷重組合わせ"の自動生成(一般タブ)時に指定した地震設計用係数が確認できます。

 

 

:選択した柱部材に対する断面選定の要約結果をテキストエディタに出力します。断面番号別の表示時では、各断面番号に対する代表値(最大鉄筋量となる結果)を出力します。

Note

要約結果を表示すると、長期/短期を区別した選定結果を表示します。

 

 

Pos :算定位置(I,M,J)

LS : 荷重組合わせ番号

AF : 軸力

BM : 曲げモーメント

SF : せん断力

Pt : 引張鉄筋比(%)、規準による最小鉄筋比と釣合い鉄筋比との間の値として計算されます。

at : 必要主筋断面

n : 主筋数

pw : 帯筋比(%)

ピッチ : 帯筋間隔

Ta.U : 付着応力度

Note

長期/短期を区別した選定結果を部材別に対しても確認することができます。

設計用軸力及び2方向の設計用曲げモーメントによるM-N相関図及び結果を表示します。

 

= 全て : 断面選定されたすべての結果をダイアログに表示します。

= OK : 断面選定結果の中で、OKと判定された結果だけをダイアログに表示します。

= NG : 断面選定結果の中で、NGと判定された結果だけをダイアログに表示します。

:選択した部材とモデル画面上での連動可否を指定します。チェックオンした場合、'選択'で選択した部材がモデル画面上でも選択されます。

: ダイアログを閉じます。

Note 1

部材の検定を先に行ってから設計を再実行すると設計結果ダイアログに、検定で表示された結果をそのまま呼出して表示します。これを表すために設計結果ダイアログの表が赤色で表示されます。検定結果を無視し、新しく設計された結果を見るためには再計算ボタンをクリックして下さい。

Note 2

せん断鉄筋の間隔が 0.001に配筋される場合

柱のせん断設計をするとき、せん断鉄筋量が最大せん断鉄筋量の制限値(ACI 318-05 11.5.7.9)を超える場合、該当部材はせん断に対してNG判定が表示されます。この場合、自動配筋結果を部材に入力するために「配筋データの更新」をクリックすると、せん断鉄筋の間隔は最大せん断鉄筋量の制限値に該当する間隔ではなく、0.001cmと入力されます。これは、RC柱検定時にユーサーがせん断鉄筋間隔をこれ以上減らせないようにするためです。