床荷重の指定

 

 

任意の平面領域に、床荷重を梁要素または壁要素の上端に対して、線分布荷重及び中間集中荷重として入力します。建築物のように床板の大きさと形状が各層で等しい場合に、床荷重を同時に複製すると、たいへん便利です。

任意平面上に作用する固定荷重、積載荷重(活荷重)、屋根荷重または積雪荷重などの分布圧力荷重を、各構造部材(梁または壁)ごとに分担する荷重(集中荷重または分布荷重)に置換する作業はたいへん煩雑です。このコマンドは、このような圧力荷重を、プログラム内で梁または壁が分担する荷重(集中荷重または分布荷重)を計算し、入力します。

床荷重が載荷される領域は、載荷面の境界線に位置する節点によって形成される閉領域として定義されます。載荷面は必ず平面でなければなりませんが、全体座標系の軸とは、平行でなくても構いません。

壁式マンション平面のように壁体線によって生成される床荷重載荷領域が閉区間ではない場合には、任意の偽梁を生成して閉区間を形成した後床荷重を載荷します。

Note
単一壁体上部に分割された梁がある場合、床荷重の入力が可能です。(適用例)

 

 

 

リボンメニュー : ホーム > 床荷重 > 床荷重の指定

ツリーメニュー : メニュー タブ > 静的荷重 > 床荷重の指定

リーメニュー : 2次設計タブ > 静的荷重 > 床荷重(固定+積載) > 床荷重の指定

 

 

重グループ名

入力した荷重データを含む荷重グループを選択します。グループ指定が不必要な場合は"デフォルト"を選択します。 荷重グループを追加生成または修正するためには をクリックして"荷重グループの定義"ダイアログを呼び出します。

床荷重は施工段階解析を行うとき、ある施工ステージで一度載荷されると、以後のステージでは荷重をとり除くことができないので、一時的に載荷する荷重と同じ荷重グループ名にしないようにご注意ください。

床荷重タイプ

 

荷重タイプ : 床荷重の定義 によって定義された床荷重の名前を選択します。

床荷重を新規に定義及び追加、または修正及び削除が必要な場合には右側の をクリックします。

分布形式

1方向スラブ

 

ポリゴン-図心

多角形を成す平面に床荷重入力、要素への荷重分担は図心を中心にした面積比率で計算

2方向スラブ

 

ポリゴン-長さ

多角形を成す平面に床荷重入力、要素への荷重分担は要素の長さ比率で計算

 

載荷領域内の内部要素を含まない : 荷重領域内の要素に荷重を載荷しない場合に用いられ、この機能はx-brace などの要素を荷重載荷要素に考慮しない時に用いると便利です。

ポリゴンタイプの分割小区間を許容 : 内角が180度以上である凹面多角形に床荷重を載荷する場合に用いられます。分布形式を2方向に選択して‘ポリゴンタイプの分割小区間を許容’をチェックすると凹面多角形である場合にも床荷重を載荷することができます。

Note1
ディアスプレイ
の荷重 >床荷重名を指定する場合、分割された領域線が表れます。
Note2
ディスプレイオプション
の表示色 >荷重 >床荷重面積で分割された領域に対する色の指定ができます。

荷重載荷角度(A1) : 荷重を流す角度を指定します。
1方向スラブの場合にのみ有効であり、荷重の載荷領域を指定する時の1番目の節点から2番目の節点に向かう軸と荷重を流す方向とが成す角度を意味します。角度の符号体系は右手の法則に従い、載荷領域を指定する時に使用した各節点の指定順序によって決まる回転方向が正(+)の方向になります。(図2、3を参照)

モデル化されていない小梁(概念)

一般的な床組の場合、床板に載荷された荷重の大部分は、一旦、床板(RCスラブやデッキプレート)を通して小梁部材に伝逹した後、大梁部材(柱と直接、接合された水平部材)に伝逹されます。

小梁部材(大梁部材の間に渡された梁)は、床板から伝達された荷重を大梁部材に伝逹する役目を担うだけであり、大梁部材の挙動に影響を及ぼしたり、逆に大梁部材の剛性が小梁部材の挙動に影響を与えるといったようなことはありません。したがって、実務設計では小梁部材はモデル化せず、小梁部材から伝逹される鉛直荷重だけを集中荷重として大梁部材に入力する方法を主に採用します。

このように、Genでは与えられた領域内(下記の説明を参照)に小梁部材の個数と配置方向のみを入力することで、小梁部材をモデル化しなくても、小梁部材から大梁部材または壁の上端に伝逹される荷重を自動で計算します。

ここで与えられた領域とは、与えられた荷重載荷領域(下記の'載荷領域を指定する節点'で、入力された各節点によって形成される閉区間)内に含まれた大梁部材や壁の上端または小梁部材(モデリングされた梁要素)によって、形成された最小単位の三角形または長方形領域を意味します。

一般的な床組の場合、床板に載荷された荷重の大部分は、一旦、床板(RCスラブやデッキプレート)を通して小梁部材に伝逹した後、大梁部材(柱と直接、接合された水平部材)に伝逹されます。

小梁部材(大梁部材の間に渡された梁)は、床板から伝達された荷重を大梁部材に伝逹する役目を担うだけであり、大梁部材の挙動に影響を及ぼしたり、逆に大梁部材の剛性が小梁部材の挙動に影響を与えるといったようなことはありません。したがって、実務設計では小梁部材はモデル化せず、小梁部材から伝逹される鉛直荷重だけを集中荷重として大梁部材に入力する方法を主に採用します。

このように、Genでは与えられた領域内(下記の説明を参照)に小梁部材の個数と配置方向のみを入力することで、小梁部材をモデル化しなくても、小梁部材から大梁部材または壁の上端に伝逹される荷重を自動で計算します。

ここで与えられた領域とは、与えられた荷重載荷領域(下記の'載荷領域を指定する節点'で、入力された各節点によって形成される閉区間)内に含まれた大梁部材や壁の上端または小梁部材(モデリングされた梁要素)によって、形成された最小単位の三角形または長方形領域を意味します。

小梁の数 : 荷重載荷領域に配置される小梁部材の数(Note及び図4、5参照)

小梁の角度(A2) : 小梁部材の配置角度(図4、5参照)

小梁の自重 : 小梁部材の単位長さ当たり自重(荷重/長さ)

Note
小梁の自重は荷重の方向と関係なく無条件
GZに作用されます。この時、小梁自重方向が荷重の方向と一致する場合は2つが合わせて荷重に生成されており、異なる場合にはそれぞれ荷重に生成されます。

小梁の数 : 荷重載荷領域に配置される小梁部材の数(Note及び図4、5参照)

小梁の角度(A2) : 小梁部材の配置角度(図4、5参照)

小梁の自重 : 小梁部材の単位長さ当たり自重(荷重/長さ)

Note
小梁の自重は荷重の方向と関係なく無条件
GZに作用されます。この時、小梁自重方向が荷重の方向と一致する場合は2つが合わせて荷重に生成されており、異なる場合にはそれぞれ荷重に生成されます。

荷重方向と投影

 

荷重の作用方向と投影載荷の可否を指定します。

床板の座標系は、載荷領域を指定する時の1番目の節点から2番目の節点に向かう方向がx軸となります。次に各節点の指定順序から定まる回転方向に対して、右手の法則を適用することで床板のz軸が決まります。1番目の節点を通り、x軸とz軸に垂直となる軸がy軸となります。(図3を参照)

ローカル x : 床板座標系(図3を参照)のx軸方向に載荷します。

ローカル y : 床板座標系(図3を参照)のy軸方向に載荷します。

ローカル z : 床板座標系(図3を参照)のz軸方向に載荷します。

グローバル X : 全体座標系のX軸方向に載荷します。

グローバル Y : 全体座標系のY軸方向に載荷します。

グローバル Z : 全体座標系のZ軸方向に載荷します。

床荷重分布の概念図

<図 1> 床荷重を梁要素上に作用する分布荷重として置換する方法(小梁部材がない場合)

 

<図 2> 1方向スラブの場合'荷重載荷角度(A1)'の概念図

 

 <図 3> 床板座標系と各節点の指定方向との関係

<図 4> '小梁の数'と'小梁の角度(A2)'の概念図

 

<図5> 小梁の角度(A2)の概念図 ('小梁の数'=2の場合)

投影

全体座標系を基準(荷重方向が'グローバル X,YまたはZ'である場合)にして床荷重を載荷する時に、荷重の作用方向に対する垂直投影面の領域に載荷するか、または荷重載荷領域の全実面積に載荷するかの可否を指定します。

Yes : 床荷重を、荷重の作用方向の垂直投影面の領域に対して載荷します。

No : 床荷重を全実面積に対して載荷します。

例えば、積雪荷重のように投影面積に対して載荷される荷重には'Yes'を選択し、屋根の積載荷重の場合には'No'を選択します。

載荷領域を指定する節点 : 載荷領域の各頂点に位置する節点の節点番号を、任意の回転方向で順次的に指定します。載荷領域を指定する時は、節点番号を直接入力するか、または入力ボックスをクリックした後、モデル画面で節点スナップを利用してマウスで指定する方法があります。各節点の指定順序によって、床板座標系と荷重の作用方向及び符号が決まります。(図3参照)

各節点の入力順序では、<図6>のように順次的に入力します。またN9とN11節点のように、載荷領域の直線上にある節点は別に指定する必要はありません。

境界線は、凹面、凸面の形状でも指定可能です。ただし各節点は同一平面上に存在している必要があります。

また載荷領域内のすべての梁要素(または壁要素)は、三角形または長方形で構成される最小単位閉領域(小領域)に分割できるように配置されている必要があります。梁要素(または壁要素)が同一線上に二重で入力されていたり、交差点でお互いに分割されていないような場合には、エラー処理されます。

モデル画面でマウスを使用する場合には、各節点を順に指定した後、最初に指定した節点を最後に指定することで入力が完了します。

<図6> 床荷重の載荷領域を指定する各節点の入力例

床荷重の複製

 

入力された床荷重を、一定距離にある同一形状(大きさ)の床板に対して繰り返し複製する時に使用します。

軸 : 複製方向を指定します。

x : ユーザー座標系のx軸方向

y : ユーザー座標系のy軸方向

z : ユーザー座標系のz軸方向

距離 : 複製距離

複数の床板に対して同時に複製する場合には、複製距離をその個数分の相対距離で繰り返し入力します。

Note
仮想梁概念を用いた床荷重の置換方法

仮想の小梁部材を利用して、任意の床板上に作用する床荷重を梁要素または壁要素の上端に分布荷重及び中間集中荷重に置換する方法は次の通りです。

床荷重の載荷領域が<図7(a)>のように、各節点によって決まると、<図7(b)>のように、その境界内に配置された梁要素(または壁要素)によって、三角形または長方形で構成される最小単位閉領域(小領域)が決まります。

小領域内に配置される小梁の数が決まれば、<図7(c)>とようにさらに小領域が再分割されます。(<図7(c)>の場合、小梁の数=1)

再分割された小領域に対して、<図7>のように梁要素(または壁要素)と仮想の小梁上に<図7(d)>のように分布荷重が分配されます。仮想の小梁上に分配された分布荷重を使用し、(両端ピンの条件で)仮想の小梁両端の反力を求めます。

このような過程を通して、仮想の小梁から伝逹された反力と梁要素(または壁要素)が直接受ける分布荷重が最終的に<図7(e)>のように、梁要素(または壁要素)上に載荷されます。

'小梁の数'は、<図7(b)>のように梁要素(または壁要素)によって、三角形または長方形によって形成される小領域内に配置される小梁の本数を意味します。

仮想の小梁の位置は<図4(a)>のように、床板座標系のx軸に対して'A2' (床板座標系のx軸と仮想の小梁を配置する方向とが成す角度を意味し、その回転の方向は、右手の法則によって'載荷領域を指定する節点'で入力された各節点の順序で決まる回転方向が正(+)の符号を持つ)の角度を成す小梁と平行かつ、小領域を構成する各頂点を通る直線の中で、最外郭にある2本の直線の間隔を'小梁の数'で等分するように仮想の小梁を配置します。

ここで、仮想の小梁と既存の梁要素(または壁要素)によって形成される多角形は、三角形と長方形だけが許容されるため、<図4>でハッチングをした部分のように、5角形が形成される場合には、プログラムによってエラー処理されます。

 

床荷重を梁要素(または壁要素の上端)に作用する分布荷重に置換する方法

梁要素荷重に置換

 

床荷重を載荷領域に入力した後に、その領域に梁または壁要素を追加で入力すると、追加した要素を考慮して荷重を自動で再配置します。追加した要素に対して、床荷重が載荷されないようにするには、この機能を利用して床荷重を梁荷重に置き換えておくことができます。

Note
適用する荷重を変更する場合には、床荷重の値さえ修正すれば、修正された荷重がモデルに適用されます。しかし、"梁要素荷重に置換"を選択して床荷重を入力した場合には、床荷重を修正しても置換した梁要素荷重は変更されないため、直接該当する梁要素荷重を変更する必要があります。
Note
床荷重の適用時の注意事項
  • 床荷重は、梁要素や壁要素の上端に区画された三角形または長方形領域に載荷されます。仮想の小梁を使用した場合、小梁によって区画された区間も三角形または長方形でなければなりません。
  • 梁要素が重複して入力されている場合、床荷重を載荷することはできません。この場合は、"要素の削除"や"重複要素のチェック/削除"を使用して重複要素を削除する必要があります。
  • 多角形と成す要素の内角が180度を過ぎた場合床荷重タイプの分布はポリゴンー長さのみ可能です。