伝達境界

 

概要

  • 半無限地層を近似的に表現する為に水平層上地盤に鉛直方向に仮想境界面を設定して遠地盤に伝播する表面波を考慮する機能です。

  • 伝達境界条件は動的解析>2D 等価線形解析のみで使用される境界条件です。

  • 地盤モデル化で境界条件は大きく[要素境界条件]、[粘性境界条件]、[伝達境界条件]で分けられます。

  • [要素境界条件]は自由上に対する境界支点での地震応答荷重の力を入力する自由端、変位を入力する固定端で分けられます。

  • [要素境界条件]は自由場の地震波影響を十分に考慮出来るが、構造物がある場合、その基礎スラブで反射される反射波の影響が考慮出来ない短所があります。また、その影響は境界の位置が基礎スラブから近いほど大きくなります。

  • [粘性境界条件]は要素境界条件の短所を解決するためにLysmer とKuhlemeyer、Ang とNewmark などが境界に一定の角度を持つ物質波が吸収できる境界条件を開発した境界条件です。しかし、粘性境界条件も複雑な表面波の影響を完璧に処理できないので要素境界と同様に境界の位置を基礎スラブで一定の距離を置いて設定するべきです。

  • [伝達境界条件]は[粘性境界条件]の短所を補完してほぼすべての形態の物質波と表面波の影響が考慮出来るようにしたもので水平方向の土層を振動数の関数で表示するスプリングとダンパーとして表せます。伝達境界条件は一般的に地盤の各層の水平方向特性が均一であると仮定するので構造物自体に境界条件を与えても満足出来るような結果が得られますが、水平方向のひずみによる特性変化を正確に考慮する為には基礎スラブと境界の間に一定の距離を維持するのが効果的です。

 

 

手法

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 - 2次等価線形解析 - 伝達境界の自動作成

一般

伝達境界を設定する要素エッジとエッジを選択すると該当の要素辺が伝達境界で設定されます。要素に割り当てられた地盤情報を利用して伝達境界を作成します。

2 つの互いに異なる要素が触れ合ったエッジを選択した場合には伝達境界が作成されません。

 

自動

メッシュを選択すると選択されたメッシュの左側/右側/底面にユーザーが指定したオプションによって境界及び要素が自動的に作成され、メッシュセットに定義された地盤物性によってばね係数値は異なるよう作成されます。

解析モデルの左側と右側を伝達境界で設定でき、底面と自由面に粘性境界が作成できます。

地盤-構造物解析を実行する為に使用される2次元モデルは実際にほぼ無限に存在する地盤を正確に描写しがたいです。したがって、工学的に適合な位置にモデルの境界を設定して設定された境界は可能な実際の敷地条件と類似になるよう処理しなければなりません。

 

境界条件セット

設定した拘束条件を望む境界条件セットに登録します。この際、ユーザーが望む境界条件セットの名称が指定できます。

 

粘性境界自動作成

- 粘性境界要素を作成する方法は次のようです。

1. Cp、Cs の算定

- Cp、Cs は以下の式を使って計算されます。

 

 

 

ここで, ,  

λ : 体積弾性係数, G : せん断弾性係, E : 弾性係数, ν = ポアソン比, A : 断面積

断面積の場合surface spring が作成される際に自動的に考慮されるため、Cp、Cs のみを算定します。

 

区 分

弾性係数

体積弾性係数

せん断弾性係数

単位重量

ポアソン比

P波

S波

E

(tonf/m2)

λ

(tonf/m2)

G

(tonf/m2)

W

(tonf/m3)

γ

Cp

(tonf·sec/m3)

Cs

(tonf·sec/m3)

Ground A

2000

1459.53

751.88

2

0.33

24.579

12.381

 

  • tonf·sec/m3 単位のCp、Cs に断面積がかけられて最終的な粘性境界要素のばね剛性はtonf·sec/m になります。

  • 陰影で表されたセルの値はユーザーがモデル化時に入力する地盤の物性であり、体積弾性係数とせん断弾性係数は弾性係数とポアソン比を使って計算します。したがって、ユーザーが粘性境界にチェックを入れる場合、追加的に入力する事項はありません。

  • 底面粘性境界要素を自動的に作成する場合、以下のように要素の面積(有効長さ*単位幅)を考慮して自動的にスプリングが生成されます。

  • スプリングが生成される節点に垂直な方向の係数にCp を入力し、平行方向にCsの値が入力されます。したがって、底面の場合にはばね係数CzがCp 値となり、Cx にCs 値が適用されます。

 

<粘性境界自動生成>