非線形特性

 

 

非線形特性の属性を入力、修正、削除します。

汎用リンク特性で定義されたヒンジ(バネタイプ)に非弾性特性を与えて静的増分解析に利用することができます。

 

 

 

リボンメニュー : モデリング > 材料 & 断面 > 非線形特性 > 非線形特性

リーメニュー : メニュータブ > モデリング > 材料&断面 > 非線形特性

 

 

 

非線形特性の定義ダイアログ

 

:非線形特性の属性を新規に入力または追加します。

: 既に入力された非線形特性の属性を修正または確認します。

: 既に入力された非線形特性の属性を削除します。

CSV ファイルで保存された非線形特性の属性を読み込みます。

Note
トラスとSlip Hysteresis(6つ)はCSV読み込み / CSV書き出し機能をサポートしません。

: 非線形特性の属性を CSV ファイルで書き出します。

Note 1

非線形特性計算方法でユーザー入力、軸力変動の考慮でなしで定義された非線形特性の属性のみ出力可能です。

Note 2

CSV 読み込み & 書き出し

 

CSV Export

 

列番号

項目

入力値

説明

1

非弾性ヒンジ

プロパティ名

 

 

2

タイプ

L, D, S

L : 材端バネ付きビーム要素

D : ビーム要素

S : バネ

3

成分

1 ~ 6

1 : Fx

2 : Fy

3 : Fz

4 : Mx

5 : My

6 : Mz

4

断面番号

1, 3 ~ 20

バネタイプを選択した場合、空欄でいいです。

5

Hysteresis Model

(履歴モデル)

KH, OO, PO,

C, DT, TT,

MT, MTT, NB,

EB, E, ET

KH : Kinematic Hardening

OO : Origin Oriented

PO : Peak Oriented

C : Clough

DT : Degrading Trilinear

TT : Takeda Tetralinear

MT : Modified Takeda

MTT : Modified Takeda Tetra

NB : Nomal Bilinear

EB : Elastic Bilinear

E : Elastic

ET : Elastic Tetralinear

6

タイプ

0, 1

0 : 対称

1 : 非対称

7

初期剛性

6, 3, 2, U, E, S

6 : 6EI/L

3 : 3EI/L

2 : 2EI/L

U : User

E : Elastic

S : Skeleton

8

初期剛性, K

 

7番列で"U", User Typeで入力する場合、初期剛性を直接入力します。

9

ヒンジプロパティ - 入力タイプ

R, D

R : 降伏強度 - 剛性低下率

D : 降伏強度 - 降伏変位

10

Unit - Force

 

 

11

Unit - Length

 

 

 

 

列 12 ~ 29は降伏プロパティの入力タイプによって違う値を入力します。

 

列番号

(+)/(-)

降伏強度 - 剛性低下率 選択時

降伏強度 – 降伏変位

12

(+)

P1 : 1次降伏強度

P1 : 1次降伏強度

13

Α1 : 1次降伏直後の剛性を初期剛性で割った比率

D1 : 1次降伏変位成分または変形

14

P2 : 2次降伏強度

P2 : 2次降伏強度

15

Α2 : 2次降伏直後の剛性を初期剛性で割った比率

D2 : 2次降伏変位成分または変形

16

P3 : 3次降伏強度

P3 : 3次降伏強度

17

Α3 : 3次降伏直後の剛性を初期剛性で割った比率

D3 : 3次降伏変位成分または変形

18

-

P4 : 4次降伏強度

19

-

D4 : 4次降伏変位成分または変形

20

(-)

P1 : 1次降伏強度  

P1 : 1次降伏強度  

21

Α1 : 1次降伏直後の剛性を初期剛性で割った比率

D1 : 1次降伏変位成分または変形

22

P2 : 2次降伏強度

P2 : 2次降伏強度

23

Α2 : 2次降伏直後の剛性を初期剛性で割った比率

D2 : 2次降伏変位成分または変形

24

P3 : 3次降伏強度

P3 : 3次降伏強度

25

Α3 : 3次降伏直後の剛性を初期剛性で割った比率

D3 : 3次降伏変位成分または変形

26

-

P4 : 4次降伏強度

27

-

D4 : 4次降伏変位成分または変形

28

 

Β : Exponent in Unloading Stiffness Calculation

β : Exponent in Unloading Stiffness Calculation

29

 

Α : Inner Loap Unloading Stiffness Reduction Factor

α : Inner Loap Unloading Stiffness Reduction Factor

 

非線形特性の定義ダイアログを閉じます。

 

非線形特性の追加/修正ダイアログ

非線形特性タイプのをクリックするとのようなメニューが現します。

それぞれ項目の下位メニューは以下の通りです。

 

  

       一般型             剛性低減型           非線形弾性型           スリップ型

名称

非線形特性の名称を入力します。

解説

定義する非線形特性に関する簡単な説明が記入できます。

非線形特性計算方法

ユーザー入力

非線形特性をユーザーが直接入力します。

自動計算

選択された材質、断面及び部材情報を用いて非線形特性を自動計算します。

要素

非線形特性のタイプを定義します。4つのタイプを提供します。

梁-柱

材端バネ付きビーム要素

集中型ヒンジタイプです。部材の両端部及び中央部に配置された並進バネまたは回転バネで非弾性挙動が集中されて、部材のほかの部分では弾性挙動をするものと仮定します。非弾性履歴挙動は経験的履歴モデルとして定義されるスケルトン曲線で定義することができます。軸方向成分に対しては部材中央(center)に曲げ-変位関係で定義されるバネを配置し、曲げ成分に対しては部材両端部(I、J またはI&J)にモーメント-回転角関係で定義されるバネを配置します。

ビーム要素

分散型ヒンジのタイプです。集中型ヒンジタイプとは異なり、部材の全区間に対して非弾性挙動が発生すると仮定します。ユーザーにより指定された部材の長さ方向の塑性ヒンジ位置が積分点として定義されて、部材の耐力分布を表す断面の柔性マトリックスは積分点で計算されます。積分点は20個まで入力することができます。非弾性履歴挙動は経験的履歴モデルで定義されるスケルトン曲線とファイバーモデルで定義することができます。軸方向成分の場合には断面での曲げ-変形度関係で定義され、曲げ成分の場合には断面でのモーメント-曲率関係でヒンジ履歴挙動を表現します。

バネ

材料及び部材の非弾性特性に影響を受ける材端バネ付きビーム要素やビーム要素のヒンジとは異なって汎用リンク要素のプロパティで定義されたプロパティタイプでの成分ごとの弾性特性に対する非線形特性を定義します。各成分の弾性剛性は有効剛性によって定義されて、非弾性解析では初期剛性の役割をします。バネの非弾性履歴挙動はスケルトン曲線モデルとして定義します。バネは3つの並進方向と3つの回転方向に対してすべて非線形特性を定義することができます。

Note
静的増分解析の時、モデル>境界条件>汎用リンク特性で定義された汎用リンク要素(バネタイプ)に非弾性ヒンジ特性を与えるためには、必ずバネタイプに設定しなければなりません。

トラス

部材軸方向成分に対して部材中央(center)で力-変位関係で定義される1つのバネを配置し、バネの非弾性履歴挙動はスケルトン曲線(skeleton)モデルで定義します。

タイプ

非線形部材の履歴挙動モデルを定義します。

スケルトン

経験的履歴モデルで方向ごとの各成分の特性は独立的に挙動すると仮定する一軸ヒンジ履歴モデル(uni-axial hinge hysteresis model)で定義します。一軸ヒンジは 3つの並進及び3つの回転成分が相互独立的に挙動するヒンジです。

Note
静的増分解析の時、汎用リンク要素(バネタイプ)に非弾性ヒンジ特性を与える場合、履歴定義はスケルトンに自動設定されます。

ファイバー

ファイバーモデルは多軸ヒンジ履歴モデルを定義するために使用されて、梁要素の断面が軸変形のみであるファイバーに分割して解析するモデルです。ファイバーモデルは断面上の各ファイバーから材料の応力変形率関係及び断面の変形度分布形状の仮定に基づいて断面のモーメント-曲率関係を正確に追跡することができます。

 

変動軸力の考慮

柱またはブレース材に対して軸力の軸力とモーメントの相関作用を考慮する方法を選択します。

なし:軸力とモーメントの相関作用を考慮しない場合。

Note
静的増分解析の時、汎用リンク要素(バネタイプ)に非弾性ヒンジ特性を与える場合、軸力とモーメントの相関作用は無しに自動設定されます。

なし(死荷重時のNより骨格曲線算定):軸力とモーメントの相関は考慮しませんが、死荷重時の軸力の影響を考慮してヒンジの曲げ降伏強度を算定することが可能です。この方法では2軸曲げモーメントの相関作用は無視され、各々の時間増分(time step)に対するヒンジ状態を判定する時は軸力と2つの曲げモーメントとも相互独立なものと仮定します。

 

死荷重時のNより算定する骨格曲線は、次の条件を満足する場合のみ可能です。

 

1) 連続的で解析される時刻歴荷重条件の1番目であること

2) 非線形静的解析であること

3) 変位制御であること

 

対象要素は N-M 相関作用が適用されるヒンジ属性が与えられた非弾性梁要素です。この時初期断面力は時間変動静的荷重(time varying static load)に含まれる全ての静的荷重に対する線形弾性解析結果の組合わせで仮定され、組合わせに使用される係数は時間変動静的荷重に入力する増減係数によって定義されます。

 

あり(N-M相関、Mの2軸相関を考慮):この方法は多軸ヒンジ履歴モデルを使用することで非弾性時刻暦解析として反映できます。軸力及び 2軸曲げモーメント間の相互作用を塑性理論により評価します。各々の時間増分ごとに 3つの成分の変動を統合して判定を行います。MIDAS/Genではノーマルトリリニア型(kinematic hardening type)のみ適用可能です。

Note
材端バネ付きビーム要素、ビーム要素、Fy, Fz成分はN-M相関は考慮できません。

材料

非線形特性が適用される要素の材料を選択します。選択された材料によって各要素の降伏応力を定義する方法の評価が異なります。

タイプ

5つの材料タイプを提供します。

鉄骨

1次降伏は断面の最大曲げ応力が降伏応力に到達した時と定義します。2次降伏はせん断面での曲げ応力が降伏応力に到達した時となります。

RC

1次降伏は断面の最大曲げ応力がコンクリートのひび割れ応力に到達した時で、2次降伏はコンクリートの応力ブロックが極限状態に到達したか鉄筋が降伏する時となります。

SRC(充填)

コンクリート充填鋼管形態で鉄骨断面の計算規準に従います。

SRC(被覆)

コンクリート被覆型で、RC断面の計算規準に従います。

ユーザー定義

ユーザー定義により指定された材料特性を用いて計算します。

規準

材料特性による降伏応力とコンクリートひび割れ強度係数などで規定する設計規準を選択する項目です。ACI規準とAIJ規準を提供します。

設計規準を選択する項目として、現在はRC及びSRC(encased)タイプに対してコンクリートひび割れ強度係数を選択する基準としてのみ使用されます。ひび割れ強度係数としてACI規準はlb-in単位で7.5を、AIJ規準はkgf-cm単位で1.8を使用します。

名称

非線形特性を適用する要素の材料名称を選択します。

部材

非線形特性が適用される部材に対する情報を入力します。

タイプ

非線形特性が適用される部材で梁、柱、ブレースを提供します。

位置

線形特性を適用する部材上の位置を選択します。RC材料の梁部材に対してのみ選択ができます。I、M、Jは各々部材のI端、中央、J端を意味します。選択された位置に対してRC梁部材の配筋情報を利用します。

断面

非線形特性が適用される部材の断面データに関連する情報を入力します。

名称

非線形特性が適用される部材の断面を選択します。

成分別プロパティ

断面耐力の各成分別に入力される弾塑性ヒンジの属性です。(入力方法)

成分

属性を入力する断面耐力成分を選択します。ここでは材端バネ付きビーム要素とビーム要素タイプに対して軸力、曲げモーメントおよびせん断成分に対して入力することができます。

V660からはせん断成分の非線形特性に対応することになりました。

ヒンジ位置

材端バネ付きビーム要素ヒンジの位置を選択します。軸力成分は部材中央に固定され、曲げモーメント成分に対しては要素のI端、J端または両端が選択可能です。(要素で材端バネ付きビーム要素を選択した場合)

分割数

ビーム要素ヒンジに対して積分点の個数を入力します。20個まで入力可能で入力数によって各断面での非線形関係が計算されます。(要素でビーム要素を選択した場合)軸力成分は軸力-軸ひずみ関係、せん断成分はせん断力-せん断ひずみ関係、曲げ成分はモーメント-曲率関係に非線形特性が設定されます。。(要素でビーム要素を選択した場合のみ選択可能です。)

 

*.梁要素の非弾性挙動は、主に部材の端部に集中される場合が多いです。したがって、Midas/Civilでは部材端部に積分点を位置させるGauss-Lobatto数値積分法を用いています。分割数による各積分点の位置を下図に示します。ただし、積分点が2つの場合はGauss-Lobatto法は考慮できないので、通常のGauss-Legendre法で計算を行います。

 

分布型梁要素の積分点位置(0.0点は部材のI段、1.0はJ端を示す。)

 

非線形特性タイプ

非線形特性の履歴モデルを選択します。

一軸ヒンジを対象に提供される履歴モデルはノーマルトリリニア型(kinematic hardening)、原点指向型 (origin-oriented)、最大点指向型 (peak-oriented)、clough型、深田型(degrading tri-linear)、武田型(takeda)の6つです。多軸ヒンジモデルを使用することで定義できるN-M-M相関作用はノーマルトリリニア型(kinematic hardening)が支援されます。

変動軸力を考慮した履歴モデルは、ノーマルトリリニア型(kinematic hardening) のみ設定可能です。

 

プロパティ

各成分別に非線形特性の属性を入力します。

ファイバー名

ビーム要素ヒンジでファイバータイプを選択した場合にファイバーの名前を選択します。

履歴モデル

 

ノーマルトリリニア型(kinematic hardening)履歴モデル

ノーマルトリリニア型履歴モデル

 

骨格曲線はTri-Linearで、除荷時(unloading)は弾性剛性で戻ります。モデルの特性により降伏後の剛性低減率は(+),(-)対称のみ可能です。

原点指向型(Origin-oriented Type)履歴モデル

骨格曲線はTri-Linearで、除荷時(unloading)は原点を目指して進み、反対側の骨格曲線にいたるとその曲線上を移動します。

最大点指向型(Peak-oriented Type)履歴モデル

 

骨格曲線はTri-Linearで、除荷時(unloading)は反対側の最大点を目指して移動します。反対側が1次降伏していない場合は1次降伏点を目指して移動します。

ノーマルバイリニア型(Normal Bilinear Type)履歴モデル

 

初期載荷時はBi-Linear骨格曲線上で移動します。除荷剛性は弾性剛性と同じです。

Clough型(Clough Type)履歴モデル

 

骨格曲線はBi-Linearで、除荷時(unloading)は次の式で算定された剛性で戻り、降伏後の変形の進展により除荷剛性は漸進的に減少します。

 

こで、

: 除荷剛性(unloading stiffness)

: 弾性剛性(elastic stiffness)

: 除荷が始まる側の降伏変位

: 除荷が始まる側の最大変位

(降伏する前は、降伏変位を最大変位として用いる)

: 除荷剛性算定用定数

 

除荷過程で復元力が0になると最大変位点を目指して移動します。まだ降伏していない場合は、骨格曲線上の降伏点を目指して移動します。除荷曲線上で載荷されると除荷曲線上を移動し、骨格曲線にいたると骨格曲線上を移動します。

深田型(Degrading Trilinear Type)履歴モデル

    

 

2次降伏前の挙動                                 2次降伏後の挙動

 

骨格曲線はTri-Linearで挙動します。2次降伏前は通常のBi-Linearと全く同じ挙動をします。2次降伏後の除荷時中間で1回の除荷剛性の変更によって反対側の最大変形点を目指して移動します。反対側が降伏していない場合は1次降伏点が最大変形点になります。1次および2次除荷剛性は次式で計算され、最大変形点が増加することにより、除荷剛性は漸進的に減少します。

 

ここで,

K_R1 : 1次除荷剛性

K_R2 : 2次除荷剛性

K_0 : 弾性剛性

K_C : 除荷始まる反対側の1次降伏剛性

K_1 : 除荷始まる反対側の原点と1次降伏点の傾き

b : 剛性低減率. 骨格曲線上の1次および2次降伏点の間で除荷発生時は1.0で固定

F_M+ , F_M- : (+), (?)側の最大部材力

D_M+ , D_M- : (+),(?) 側の最大変形

オリジナル武田型(Takeda)履歴モデル

 

降伏前の除荷状態(微小変形時)                       降伏前の除荷状態(大変形時)

 

 

 

  • 初期載荷時はTri-Linear骨格曲線上で移動します。

 

  • 変形Dが初めて1次降伏変形 D1を超えた場合, あるいはこれまでの最大変形点を超えた場合

  1. 載荷の場合、Tri-Linear骨格曲線上で移動します。

  2. この直線から除荷されると反対側の1次降伏点を目指して移動します。

  3. 反対側の最大変形が弾性域の場合はこの弾性域の範囲は反対側の1次降伏点までとします。

  4. 反対側の最大変形がD1を超えた場合はこの弾性域の範囲は復元力が0になる点までとし、0点を超えたからは反対側の最大変形点を目指して移動します。この最大変形点を目指す直線上で除荷される場合の剛性は反対側で最大変形点から戻り剛性で戻る。

 

  • 変形Dが初めて2次降伏変形 D2を超えた場合, あるいはこれまでの最大変形点を超えた場合

  1. 載荷の場合、Tri-Linear骨格曲線上で移動します。

  2. この直線から除荷時は次式で計算された勾配で移動します。
    ,
    K_un2  : 外側ループの除荷剛性
    P1       : 除荷点反対側の1次降伏強度
    P2       : 除荷側の2次降伏強度
    D1       : 除荷点反対側の1次降伏変形
    D2       : 除荷側の2次降伏変形
    D_max : 除荷側の最大変形
    β         : 外側ループの除荷剛性パラメータ

  3. 反対側の最大変形点がD1を超えていない場合は、勾配 Kun2の範囲は反対側P1までとします。この P1を超えた場合は、D2点を目指して進みます。 D2点を目指す直線上で除荷される場合は、勾配 Kbの直線上で移動します。復元力が0を超えると最大変形点を目指して進みます。最大変形点を目指す直線上で除荷される場合は、勾配 Kun2の直線上で移動し、復元力が0を超えると反対側の最大変形点を目指して進みます。

  4. 除荷過程で再載荷されて、骨格曲線にいたる前の除荷により生じる内部ループでの除荷剛性は次式で求めます。

    ここで, K_RI : 内部ループの除荷重剛性
    K_un2 : 除荷点側の外部ループの除荷剛性
    γ : 内部ループ除荷剛性低減率
     

  5. 反対側の最大変形がD1を超えた場合は、勾配Kun2の範囲は復元力が0になる点までとします。また、0点を超えた場合は、最大変形点を目指します。この最大変形点を目指す直線から除荷される場合は、そのDが内部ループの最大変形点になります。また、勾配un2上で移動し、復元力が0となる点を超えると最大変形点を目指して進みます。この最大変形点を目指す直線から除荷される場合もDが内部ループの最大変形点になり, 勾配un2上で移動し、復元力が0となる点を超えると最大変形点を目指して進みます。

オリジナル武田Tetra型(Takeda Tetra Linear Type)履歴モデル

Takeda Tetra Linear履歴モデル

 

  • 初期載荷時はTetra-Linear骨格曲線上で移動します。

  • 変形DがD3を超える前の履歴規則は、オリジナル武田履歴と全く同じです。

  • 変形DがD3を超えると、勾配Kで移動して、除荷時はオリジナル武田履歴と同じ規則で移動します。

  • 不勾配に入り、復元力が 0.0となる点を超えた場合、変形軸(X軸)上を移動します。また、戻りは直前に0.0となった点までは X軸上に戻り、その後は通常のル-ルです。

修正武田型(Modified Takeda Type)履歴モデル

 

 

  • 初期載荷時はTri-Linear骨格曲線上で移動します。

  • 変形Dが初めてD2を超えた場合、またこれまでの最大変形点を超えた場合は、Tri-Linear骨格曲線上で移動します。この直線から除荷され反対側を向いて進む場合は、復元力が0となる点までは勾配Kun2で移動し、復元力が0となる点を超えてからは反対側の最大変形点を目指して進みます。

 

ここで、

K_UN2 : 外側ループの除荷剛性

K_0 : 弾性剛性

D1 : 除荷点側の1次降伏変形

D_max : 除荷点側の最大変形

β : 外側ループの除荷剛性パラメータ

 

  • 復元力が0となる点から最大変形点を目指す直線から除荷される場合は、復元力が0となる点まで勾配Kun2で移動し、復元力が0となる点を超えてからは反対側の最大変形点を目指して進みます。

修正武田斜線形(Modified Takeda Tetra Linear Type)履歴モデル

Modified Takeda Tetra Linear Type履歴モデル

 

  • 初期載荷時はTetra-Linear骨格曲線上で移動します。

  • 変形 DがD3を超える前の履歴規則は修正武田履歴と全く同じです。

  • 変形 DがD3を超えると, 勾配Kで移動して、除荷時は修正武田履歴と同じ規則で移動します。

  •  不勾配に入って復元力が 0.0となる点を超えた場合、変形軸(X軸)上で移動します。また、戻りは直前に0.0となった点までは X軸上に戻り、その後は通常のル-ルです。

非線形弾性バイリニア型(Elastic Bilinear Type)履歴モデル

 

載荷と除荷に関係なくループ直線を描かないタイプで、Bi-Linear骨格曲線上で移動します。

非線形弾性トリリニア型(Elastic Trilinear Type)履歴モデル

 

載荷と除荷に関係なくループ直線を描かないタイプで、Tri-Linear骨格曲線上で移動します。

非線形弾性テトラリニア型(Elastic Tetralinear Type)履歴モデル

 

 

 

 

  • 載荷と除荷に関係なくループ直線を描かないタイプで、Tetra-Linear骨格曲線上で移動します。

  • 不勾配に入って復元力が 0.0となる点を超えた場合、変形軸(X軸)上で移動します。また、戻りは直前に0.0となった点までは X軸上に戻り、その後は通常のル-ルです。

スリップBilinear型(Slip Bilinear Type)履歴モデル

 

 

  • 初期載荷時バイリニアスケルトン曲線上で移動します。

 

  • 変位または変形が |D1| < |D|の時、除荷(unloading)時には、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で 除荷され、変転位置A点でB点まで変形軸(X軸)上で移動します。

 

  • B点を超えると、スケルトン曲線とあうまで弾性剛性を持ちながら移動し、除荷時には復元力が0になる点まで弾性剛性の勾配で除荷され、反転位置から変形軸(X軸)上を移動する過程を繰り返します。

 

  • スリップバイリニア型履歴は初期ギャップ設定が可能です。

スリップBilinear/引張りのみ型(Slip Bilinear Tension Only Type)履歴モデル

 

 

  • 初期載荷時バイリニアスケルトン曲線上で移動します。

 

  • 変位または変形が |D1| < |D|の時、除荷(unloading)時には、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で 除荷され、変形軸(X軸)上で移動します。

 

  • 再載荷される場合、A点までは変形軸(X軸)上で移動し、A点を超えるとスケルトン曲線とあうまでは弾性勾配で載荷されます。

 

  • スリップBilinear 引張りのみ型履歴は(+)側の初期ギャップのみ設定可能です。

スリップBilinear/圧縮のみ型(Slip Bilinear Compression Only Type)履歴モデル

 

  • 初期載荷時バイリニアスケルトン曲線上で移動します。

 

  • 変位または変形が |D1| < |D|の時、除荷(unloading)時には、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で 除荷され、変形軸(X軸)上で移動します。

 

  • 再載荷される場合、A点までは変形軸(X軸)上で移動し、A点を超えるとスケルトン曲線とあうまでは弾性勾配で載荷されます。

 

  • スリップBilinear 圧縮のみ型履歴は(-)側の初期ギャップのみ設定可能です。

スリップTrilinear型(Slip Trilinear Type)履歴モデル

 

 

  • 初期載荷時トリリニアスケルトン曲線上で移動します。

 

  • 変位または変形が |D1| < |D|の時、除荷(unloading)時には、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で 除荷され、変転位置A点でB点まで変形軸(X軸)上で移動します。

 

  • B点を超えると、スケルトン曲線とあうまで弾性剛性を持ちながら移動し、除荷時には復元力が0になる点まで弾性剛性の勾配で除荷され、反転位置から変形軸(X軸)上を移動する過程を繰り返します。

 

  • スリップトリリニア型履歴は初期ギャップ設定が可能です。

スリップTrilinear/引張りのみ型(Slip Trilinear Tension Only Type)履歴モデル

  • 初期載荷時トリリニアスケルトン曲線上で移動します。

 

  • 変位または変形が |D1| < |D|の時、除荷(unloading)時には、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で 除荷され、変形軸(X軸)上で移動します。

 

  • 再載荷される場合、A点までは変形軸(X軸)上で移動し、A点を超えるとスケルトン曲線とあうまでは弾性勾配で載荷されます。

 

  • スリップTrilinear引張りのみ型履歴は(+)側の初期ギャップのみ設定可能です。

スリップTrilinear/圧縮のみ型(Slip Trilinear Compression Only Type)履歴モデル

 

  • 初期載荷時トリリニアスケルトン曲線上で移動します。

 

  • 変位または変形が |D1| < |D|の時、除荷(unloading)時には、復元力が0になるA点まで弾性剛性の勾配で 除荷され、変形軸(X軸)上で移動します。

 

  • 再載荷される場合、A点までは変形軸(X軸)上で移動し、A点を超えるとスケルトン曲線とあうまでは弾性勾配で載荷されます。

 

  • スリップTrilinear 圧縮のみ型履歴は(-)側の初期ギャップのみ設定可能です。

 

Note
静的増分解析に汎用リンク要素(バネタイプ)を非弾性ヒンジに定義する場合、MIDAS/Genで提供するすべての履歴モデルを適用することができます。

 

 

 

非線形特性‐バイリニア型

タイプ

スケルトン曲線が対称か非対称かを選択します。これは折れ点、初期剛性に対する剛性低下率及びヒンジ状態に適用されます。但し、ノーマルトリリニア型は初期剛性に対する剛性低下率に対する非対称性を許容しません。

降伏強度

降伏強度を入力します。(入力方法)

入力方法

ユーザー入力 : ユーザーが降伏特性を直接入力します。

自動計算 : 降伏特性が自動で計算されます。

入力タイプ

降伏強度-剛性低下率 : 強度と剛性低減率を入力して降伏特性を定義します。

降伏強度-降伏変位 : 強度と降伏変位を入力して降伏特性を定義します。

降伏強度

降伏強度を入力します。材料及び断面性質に基づいて使用者が入力します。降伏強度は引張側(t)と圧縮側(c)区分なしで正(+)値で入力し、圧縮側(c)は(-)で取り扱います。

P1

1次降伏強度を意味します。材料タイプが鉄骨またはSRC(充填)の場合に1次降伏は断面の最大曲げ応力度に到達した状態を意味します。材料タイプがRCまたはSRC(被覆)である場合に1次降伏は断面の最大曲げ応力度がコンクリートひび割れ応力に到達した状態を意味します。

P2

2次降伏強度を意味します。材料タイプが鉄骨またはSRC(充填)の場合に2次降伏はせん断面での曲げ応力度が降伏応力度に到達した状態を意味します。材料タイプがRCまたはSRC(被覆)である場合に2次降伏はコンクリート断面の応力が極限強度に到達するか鉄筋の降伏強度に到達した状態を意味します。曲げの場合にコンクリートの応力は長方形応力ブロックを規準にします。

P3 : 3次降伏強度を意味します。(Tetralinearのみ定義)

初期剛性に対する剛性低下率

3勾配型スケルトン曲線の剛性低減率を入力します。

α1

1次降伏直後の剛性を初期剛性で割った値。

α2

2次降伏直後の剛性を初期剛性で割った比。

α3 : 3次降伏後の剛性を初期剛性で割った値(Tetralinearのみ定義)

降伏変位

入力タイプが降伏強度-降伏変位の場合、骨格曲線の降伏変形を入力します。

D1:1次降伏変形

D2:2次降伏変形

D3 : 3次降伏変形(Tetralinearのみ定義)

塑性進行段階

弾塑性ヒンジの変形の程度を表す指標を計算するために必要なデータです。

塑性率

塑性率を計算する方法を選択します。塑性率はユーザーの選択によって発生した変形に対する 1次降伏変形また2次降伏変形で割った値で計算されます。

ヒンジ状態

ヒンジ状態を5つのレベルで区分する規準塑性率を入力します。非対称ヒンジの場合に時間ステップでのヒンジ状態レベルは正(+)、負(-)方向のレベルで大きい方で決まります。レベル-1(0.5)であると弾性状態を意味し、レベル-2(1)は降伏状態そして、レベル-3(2)、レベル-4(4)、レベル-5(8)は各部材の塑性率程度を表す寸歩です。解析結果では各々青、緑、薄緑、オレンジ色、赤で表現されます。

初期剛性

非線形解析に用いる初期剛性を選択/入力します。 (初期強度選択及び使用者入力方法)

6EI/L , 3EI/L, 2EI/L : 曲げモーメント成分に対する集中型非線形ヒンジの骨格曲線上の初期剛性を選択します。初期剛性の選択は曲げモーメントの材軸方向分布に対する仮定に基づきます。

6EI/L : 集中型非線形ヒンジに対して曲げモーメント成分に対する初期剛性を選択します。初期剛性の選択は曲げモーメントの材軸方向分布に対する仮定に基づきます。

3EI/L : 直線分布として仮定された曲げモーメントの両端の値が、大きさが同じで符号が反対の場合

2EI/L : 両端の値の大きさ及び符号が同じの場合

 

 

要素で材端バネ付きビーム要素を選択した場合のみ選択可能です。

ユーザー : 入力タイプが降伏強度-剛性低下率の場合、骨格曲線上の初期剛性を選択またはユーザーが直接入力します。

弾性剛性 : 部材の弾性剛性を非線形解析時の初期剛性とします。  

スケルトン曲線から求める : 入力タイプが降伏強度-降伏変位の場合、ユーザーが直接入力した降伏強度と降伏変形から初期剛性を求める。

除荷剛性のパラメータ

除荷剛性パラメータβ

スケルトン曲線の履歴モデルの中で、Clough型と武田型モデルで使用する外側ループ除荷剛性を決定するオプションです。降伏以後に変形が進行されることによって発生する剛性低下の効果を反映するためです。除荷剛性は除荷が始まる領域での降伏変位と最大変位そしてここで入力される外側ループの除荷剛性係数によって弾性剛性を減らすことによって決まります。

内部ループ反復時の剛性低下率α

除荷過程で荷重符号が変わった後再載荷される途中にスケルトン曲線上の目標点に到達しなくて除荷が発生して形成される内側ループの除荷剛性を決定するのに使用される内側ループの除荷剛性低減率です。内側ループの除荷剛性は外側ループの除荷剛性と内側ループ除荷剛性低減率の掛け算するよって求めます。

N-M相関曲線プロパティダイアログ

 

N-M相関曲面プロパティ

3次元降伏面の算定に必要なM-N相間曲線を入力します。(入力方法)

入力形式:以下の変数に対する入力形式でユーザー入力と材料及び断面形状に基づいた自動計算の2つの方式を支援します。一部の項目のみ自動計算して残りの部分においてはユーザー入力方式を用いる場合には、先に自動計算を行い、その後ユーザー入力方式に転換して必要とする項目だけ直接修正することができます。

ひび割れ強度:以下の三3つの項目は材料タイプがRCまたはSRC(充填)の場合だけ要求されます。数値はすべて正(+)の値で入力します。

次の3項目は材料タイプがRC又はSRC(充填)の場合に要求されます。数値は全て正(+)の値で入力します。

NC0(t):純張力に対するひび割れ強度

MC0y:軸力が作用しない断面のy軸-曲げに対するひび割れ強度

MC0z:軸力が作用しない断面のz軸-曲げに対するひび割れ強度

以下の12個項目は材料タイプに関係なくて要求されますが、RC及びSRC(充填)に対してはNC0(t), MC0y及びMC0zを基づいて近似化されたNC(t), NC(c), NCBy, NCBz, MCy,max, MCz,maxを入力または自動計算するようになります。数値はすべて正(+)の値で入力します。

ひび割れ面N-M相関曲線に対する強度:ひび割れ相関曲線での強度

NC(t):純引張力に対するひび割れ強度

NC(c):純圧縮力に対するひび割れ強度

NCBy:断面のy軸-曲げに対するひび割れ相関曲線で均衡破壊発生時の軸力

NCBz:断面のz軸-曲げに対するひび割れ相関曲線で均衡破壊発生時の軸力

MCy,max:断面のy軸-曲げに対するひび割れ相関曲線で最大曲げひび割れ強度

MCz,max:断面のz軸-曲げに対するひび割れ相関曲線で最大曲げひび割れ強度

降伏面N-M相関曲線での強度:降伏相関曲線での強度

NY(t):純引張力に対する降伏強度

NY(c):純圧縮力に対する降伏強度

NYBy:断面のy軸-曲げに対する降伏相関曲線で均衡破壊発生時の軸力

NYBz:断面のz軸-曲げに対する降伏相関曲線で均衡破壊発生時の軸力

MYy,max:断面のy軸-曲げに対する降伏相関曲線で最大曲げ降伏強度

MYz,max:断面のz軸-曲げに対する降伏相関曲線で最大曲げ降伏強度

ひび割れ、降伏面N-M相関曲線の形状:N-M相関曲線の形状を入力します。相関曲線の形状は正規化された曲線上の11個の点の座標で表現されます。この中で引張(E(t))、圧縮(E(c))及び曲げ方向の最外郭支点座標(O)は、0または1で固定されるので残りの8個所の座標を入力します。材料タイプがRCまたはSRC(encased)の場合には1次降伏に関する相関曲線が直線形状であるため入力する必要はありません。正規化された座標の軸力成分の計算および図示において圧縮の場合には(+)、引張の場合には(-)で表現します。

降伏曲面形状の近似化

N-M相関曲線に基づいた3次元降伏面のパラメータをユーザー入力または自動計算します。一部の項目のみ自動計算して残りの部分においてはユーザー入力方式を用いる場合には、先に自動計算を行い、その後ユーザー入力方式に変更して必要とする項目だけ直接修正することができます。但し、αの場合にはユーザー入力のみ可能です。それぞれのパラメータはダイアログに表示された降伏曲線面式で使用される値です。

Βy、βz、γ:N-MyまたはN-Mz相関関係の次数で1次及び2次降伏に対して異なる値を入力することができます。また、βy、βzは均衡破壊発生時軸力を基づいてそれより大きい軸力と小さい軸力の領域に対して異なる2個の値を入力することができます。

α:1次及び2次降伏に対するMy-Mz相関関係の次数

Note
α=2の場合は円形でMy-Mzの相関関係を考慮する。
α=1の場合はひし形でMy-Mzの相関関係を考慮する。

N-M相関曲線と近似降伏曲面

 

ユーザー入力または材料断面特性によって計算されたN-M相関曲線とこれを基づいて構成された3次元降伏面の形状を図示化します。降伏面は基準平面上に投影された外郭線を図示します。これによって、N-M相関曲線と3次元降伏面がどのぐらい一致するかを検討することができます。

表示:図示する相関曲線または降伏面を選択します。N-My, N-Mz, My-Mzの3つを選択することができます。

N-My   :  軸力とMyの相関関係

N-Mz   :  軸力とMzの相関関係

My-Mz  :  MyとMzの相関関係

 

Q. 非線形特性の降伏強度について

鉄骨の非線形特性で、1次降伏は、Mu=Zp×F値(1.1倍は考慮しない)と理解すればよろしいでしょうか?

また、1.1倍考慮する場合、別途計算することなしで一律に入力データで考慮することはできますでしょうか?

という問い合わせの回答で『設計 > 鉄骨設計パラメータ > 鉄骨材料の修正』で規格を Noneに変更し、降伏応力度(Fy)の値を1.1倍考慮した降伏応力で入力してください。との回答を頂きました。しかしながら、最近になり確認したところ

解析後、ここで修正を行っても、「解析結果を削除します」というメッセージが出てきません。ということは、解析結果に変更はないようです。

A.

解析に反映するためには、

『設計 > 鉄骨設計パラメータ > 鉄骨材料の修正』で考慮したい降伏応力を入力して、

『モデル>材料&断面>非線形特性』の非線形特性の追加/修正で

OKボタンをクリックする必要があります。

そうすると「解析結果を削除します」というメッセージが出力され、

修正された解析結果が反映されます。

Q. 非線形特性の入力について

1) 市販の一貫計算プログラムなどで、鉛直荷重時に「せん断変形を考慮しない」や「軸変形を考慮しない」といった選択ができます。これは、鉛直荷重時に曲げ剛性のみを考慮して軸剛性、せん断剛性を考慮しないといったことと思われますが、これをGenで再現しようとした場合、どういった入力を行えばよいのでしょうか。

A.

柱の不等たわみを発生させないためなら、施工段階解析を使用することをお勧めします。

また、断面性能の増減係数を用いたら再現出来ます。軸方向とせん断面積を十分大きい値として入力することです。

 

2) また、これを時刻歴応答解析に適用したい場合(初期断面力に考慮したい場合)はどうしたらよいのでしょうか。

A.

鉛直荷重を静的荷重条件に入力して、その静的荷重ケースを以下に表示した部分で選択します。断面性能増減係数が適用された鉛直荷重の結果を初期断面力に反映することが出来ます。

 

 

3) 断面性能の増減係数による入力値は非線形特性の初期剛性に反映されるのでしょうか。(初期剛性をユーザー入力以外とした場合)

A.

はい、そうです。

 

4) 「軸方向、せん断剛性は無限に大きな値とする。」という条件を満足させる場合、非線形特性の初期剛性でユーザー入力により大きな値を入力するのでしょうか。それとも断面性能の増減係数で100倍など大きな係数を入力するべきなのでしょうか。

A.

初期剛性がユーザー入力の場合は、非線形係数の初期剛性でユーザー入力を大きい値を入力する方法で良いです。弾性剛性の場合は断面性能の増減係数で大きい係数を入力する方法で良いです。

 

5) ノーマルバイリニア・ノーマルトリリニア・スリップモデルの除荷時は、弾性剛性と初期剛性のどちらで戻るのでしょうか。

A.

初期荷重を弾性剛性に設定した場合には弾性剛性で戻り、ユーザー設定の場合にはユーザー入力値で戻ります。

Q. 非線形特性の初期剛性について

非線形特性で降伏強度-降伏変位を指定しました。この場合は初期剛性が自動的にスケルトン曲線から求めるになります。二つのモデルで降伏強度は同じですが降伏変位D1が100倍異なります。

『結果>時刻歴応答解析>変位/速度/加速度』で40ステップの変位を確認すると、両方とも結果が同じです。降伏変位が異なるため、初期剛性も変わると思われるのですが、なぜでしょうか。

 

A.

材端バネ付きビーム要素の初期剛性は、要素が降伏する前にはどんな値を持っても解析結果には影響を及ぼしません。降伏した後に影響を及ぼします。従って、二つのモデルが降伏する前の解析結果は同じです。材端バネ付きビーム要素の初期剛性はヒンジの変形計算時に使用されます。

材端バネ付きビーム要素の初期剛性処理は以下の通りです。

1. 材端バネ付きビーム要素

材端バネ付きビーム要素は主に両端にモーメントが集中される骨組み解析に使用され、長さが0で塑性変形が可能な並進または回転非弾性バネを梁要素に設定して、これ以外のほかの部分は弾性要素とみなしてモデリングされます。非弾性バネを挿入する位置は曲げに対しては部材両端部です。

Lumped Inelastic Hinge Type Beam Element

2. 材端バネ付きビーム要素の構成

1) 材端バネ付きビーム要素剛性

: 材端バネ付きタイプ(Lumped Type)のヒンジが与えられた梁要素の剛性行列は柔軟度行列の逆行列で計算されます。

2) 材端バネ付きビーム要素の柔軟度行列

全体梁要素の柔軟度行列は弾性梁の柔軟度行列に非弾性バネの柔軟度行列を足して構成します。 非弾性ヒンジプロパティでユーザーが設定した初期剛性は非弾性バネの柔軟度行列構成時に反映され、弾性梁要素の柔軟度行列構成時には反映されません。

材端バネ付きビーム要素の柔軟度行列、式(1)に適用

弾性梁要素の柔軟度行列 ? 弾性梁要素の柔軟度行列と同様

弾性梁要素の軸力、曲げ成分に対する要素柔軟度 ? 弾性

弾性梁要素のせん断成分に対する要素柔軟度 ? 弾性

ねじり成分に対する要素柔軟度

要素両端の非弾性バネの柔軟度 ? 非弾性

3) 非弾性バネの柔軟度

要素両端の非弾性バネの柔軟度行列を構成する各成分の非弾性バネの柔軟度を とすると、は現在の接線柔軟度と初期柔軟度の差で定義されます。従って、弾性状態(降伏する前)の場合にはが同じなので0です。

従って、非線形プロパティを設定したすべての成分が弾性状態であれば、要素両端の非弾性バネの柔軟度行列はになり、全体梁要素の柔軟度行列は次のようです。

即ち、要素両端の非弾性バネが降伏する前には非弾性ヒンジプロパティでユーザーが設定した初期剛性に関係なく、線形弾性解析時の要素剛性と同様なためどんな初期剛性を設定しても同様な結果が得られることに注意する必要があります。