施工ステージ解析を利用して地盤の施工過程を数値解析で描写できます。施工ステージ解析は複数の‘ステージ(stage)’で成っていて、各ステージ別に荷重/境界条件の追加及び除去、要素の追加及び除去が可能となります。このような荷重/境界または要素の変化は各ステージの始点で適用されます。FEA NX では次のような多様なタイプの解析機能を使用して施工ステージ解析が進行できます。
応力-斜面解析
施工過程に対する応力解析及び斜面安定解析
浸透解析
施工ステージ別定常流解析、施工ステージ別非定常流解析
応力-浸透-斜面連成解析
施工過程に対する順次的浸透-応力解析及び斜面安定解析
圧密解析
施工ステージの成土や環境変化について圧密解析
応力-浸透完全連成解析
非定常浸透減少とこれと完全連成された応力解析
施工ステージ解析を実行する際に考慮出来る内容は次のようになります。
· 要素の追加及び除去
· 荷重の載荷及び消去
· 境界条件の変化
· 地盤物性の変化
· 応力解放率の定義
· 施工ステージ別地下水位
· 排水-非排水解析
· 変位の初期化
· 応力解析初期施工ステージ(Ko 条件考慮)
· リスタート(Restart)
例えば、トンネルの施工ステージは以下のように構成できます。
ステージ1 : 源地盤応力、
ステージ2 : 第1切羽掘削、
ステージ3 : 第1切羽補強 + 第2切羽掘削、
ステージ4 : 第2切羽補強 + 第3切羽掘削、
ステージ5 : 第3切羽補強 + 第4切羽掘削、
……… (繰り返し) …………
上でステージ1は源地盤応力計算の為のステージです。特に、地盤に対する応力解析は一般的に源地盤状態を初期状態で仮定するので源地盤状態の応力状態を計算する必要があります。FEA NXでは自重解析を通して源地盤応力が計算できます。
要素の追加と除去
施工ステージ解析の中で追加される要素は基本的に ‘0(zero)’の初期応力値を持ちます。ただし、プレストレス(prestress)が該当の要素に定義された場合、定義されたプレストレス応力を初期値として持ちます。自重が定義された場合、追加される要素は自重による体積力を持つ事になります。追加された要素がModified Cam-clayの材料モデルを使用する場合、追加された段階では線形弾性性質を持つようになり、該当ステージの荷重/境界条件によって初期応力状態が決定されます。
要素の登場によって存在していなかった節点が追加されることがあり、始めて登場した節点の変位も‘0 (zero)’となります。
要素が削除されると、応力解放率が追加に定義されていない削除された要素が担当する内力はそれ以上考慮されず、このことによって全体の応力状態が再分配されます。
荷重及び境界条件の追加と除去
各施工ステージごとに荷重の追加または除去が可能であり、以前段階の荷重は次のような例外状況を除外していじされます。
· 荷重を受ける要素が削除された場合:
例) 重力による体積力を受ける要素が該当ステージで除去された場合
· 要素削除によって荷重が加えられるフェイス/エッジ/節点が除去された場合
追加された荷重は以前の施工ステージに既に適用された荷重に累積されて適用されます。
境界条件もまた同様にステージ別に追加及び除去が可能となり、荷重と同じ例外状況が適用されます。
応力解放率
施工ステージ解析中モデル化を単純化する為に応力解放率の概念が使用できます。応力解放率を利用して要素削除の効果が以降のステージに順次的に適用されるようにする数値解析的技法です。応力解放率は3 次元モデルを2 次元で単純化してモデル化したり、3 次元モデルの施工ステージを縮小して解析する際に使用できます。
例えば、掘削ステージから連続した3 段階に渡って40%、 30%、 30%の応力緩和が生じると仮定する時、掘削ステージを定義して定義された掘削段階で応力解放率オプションをアクティブ化します。オプションウィンドウで ‘after 0、 1、 2 stage’にそれぞれ0.4、0.3、 0.3 の応力解放率を入力すれば良いです。

物性変換
施工ステージ解析中に地盤撹乱や改良、時間による硬化などをモデル化するために地盤物性を変えなければならない場合もあります。また、ライニングコンクリートの硬化やライニング厚さの変化等のように途中に構造物の物性が変わる場合もあります。そのために回数の制限なく特定要素の材料物性を変えることができます。変った物性は以前ステージの要素結果(例えば変位、応力、ひずみなど)に連続して解析が実行されます。
注意) 物性の変換機能を使用する場合は注意が必要です。施工ステージ解析時に掘削後他の材料で埋める場合、実際に要素の除去と追加をしないで物性変換だけを使用してモデル化する場合があります。この時、以前ステージの応力状態をそのまま次のステージの解析に反映するので物性変換によって物理的に合わない挙動をすることになります。したがって、物性変換機能は要素を除去して、再び追加するステージで実行されてこそ、意図した結果が得られます。要素が新しく追加される場合、内部的に新しく作成される要素の応力とひずみ及び内部状態変数などは‘0(zero)’で初期化されます。
非排水解析
望む要素と施工ステージのみについて非排水解析が実行できます。非排水解析を適用するには次の二つの条件を全て満足しなければなりません。一番目で材料モデルで排水パラメータを非排水タイプで設定して、二番目に施工ステージの解析制御で非排水条件にチェックしなければなりません。もし、材料モデルで非排水タイプを設定しても施工ステージで非排水解析をチェックしないと材料は該当ステージで排水解析を実行します。逆に材料モデルで排水物性を定義して施工ステージで非排水解析にチェックする場合も同様に排水挙動をします。非排水解析を行う為には材料モデルの排水パラメータを非排水タイプに設定して、施工ステージ定義時にステージ別解析制御で非排水条件にチェックしなければなりません。
* 静的線形/非線形解析、または斜面安定検討のような単一解析ケースでは解析制御(オプション)>非排水材料挙動を許容 オプションがチェックできます。
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