材料物性

 

手法

基本パラメータ(一般)

            

 

材料モデル別の基本剛性や初期条件を定義する入力パラメータと単位は以下の表の通りです。

 

入力パラメータ

説明

単位
弾性係数( )

弾性係数

kN/m2

弾性係数増減係数

高さによる弾性係数の増減係数(傾き)

kN/m3

基準高さ

弾性係数増減基準高さ

m

ポアソン比( )

ポアソン比

-

湿潤単位重量(γ)

不飽和状態の全体単位重要 (γt)

kN/m3

初期応力解析用

パラメータ (Ko)

停止土圧係数

-

線膨張係数

温度荷重の計算のための係数

1/[T]

減衰比

材料減衰比(動解析でのみ適用)

-

 

[弾性係数(E)]

材料の基本初期剛性を定義するためのパラメータです。弾性係数を定義したり、Oedometer Testを通して求めたせん断弾性係数(μ)と弾性係数(λ)で代替することができます。地盤材料は大体荷重載荷の初期段階から非線形挙動を見せるので初期剛性の設定が非常に重要です。以下の図の様に三軸圧縮試験結果、応力-ひずみ曲線から初期剛性が定義出来ますが、大きなひずみが発生するまで線形(弾性)挙動をする材料の場合E0を使うのが現実的ですが、一般的な地盤材料ではE50、 即ち50%の応力水準での接線の傾きを初期剛性として使用するのが適切です。また、一般的な施工ステージ解析で掘削による除荷(unloading)と再載荷(reloading)を描写する場合、E50の代わりに Eurを使用することがより現実的な地盤挙動を描写するに役に立ちます。

したがって一定の初期剛性を利用して地盤挙動を描写する場合には地盤が受ける応力の範囲(大きさ)と応力移動経路によって決めるのが重要であり、このような詳細挙動を描写するためには多様な非線形材料モデルが使用できます。

 

<三軸圧縮試験の結果グラフ>

 

地盤が持つ連続体の特性上、体積弾性係数K(bulk modulus)とせん断弾性係数G(shear modulus)は多少論難の余地はあり得ますが、 Eとnより簡潔で明確に表現出来るのでより簡単に利用できます。以下の図はKとGが持つ力学的な意味を簡潔に説明したものです。

 

<多様なタイプの弾性係数>

 

現場試験によって得る弾性係数は以前言及された色々な弾性係数の中の一つになり、適切に変換することで実務に適用できます。

 

地盤材料

弾性係数(tonf/m2)

ポアソン比

amphibolite

9.4~12.1 ´106

0.28~0.30

anhydrite

6.8 ´106

0.30

siabase

8.7~11.7 ´106

0.27~0.30

siorite

7.5~10.8 ´106

0.26~0.29

solomite

11.0~12.1 ´106

0.30

sunite

14.9~18.3 ´106

0.26~0.28

deldspathic gneiss

8.3~11.9 ´106

0.15~0.20

gabbro

8.9~11.7 ´106

0.27~0.31

granite

7.3~8.6 ´106

0.23~0.27

ice

7.1 ´106

0.36

limestone

8.7~10.8 ´106

0.27~0.30

marble

8.7~10.8 ´106

0.27~0.30

mica Schist

7.9~10.1 ´106

0.15~0.20

obsidian

6.5~8.0 ´106

0.12~0.18

oligoclasite

8.0~8.5 ´106

0.29

quartzite

8.2~9.7 ´106

0.12~0.15

rock salt

3.5 ´106

0.25

slate

7.9~11.2 ´106

0.15~0.20

aluminum

5.5~7.6 ´106

0.34~0.36

steel

20.0 ´106

0.28~0.29

<岩石やその他の材料の弾性係数とポアソン比>

 

上表にある弾性係数は亀裂のない小さな試験体に対する実験値でインタクトロック(intact rock)の弾性係数に該当します。したがって現場を考慮して弾性係数を適用する際には大型スケールの岩盤内の不連続面を考慮して減少された弾性係数値を適用しなければなりません。下図はRQD(Rock Quality Designation)による弾性係数減少比を表した実測データをグラフにしたものです。RQDとは亀裂が含まれたボーリングコア100cmの長さで10cmの長さを超過するコアの合計を全体長さに対する百分率で表現した値です。RQDが100%だからと言ってインタクトロックとは見られません。しかし、RQDが高いほど岩質は優秀だと言え、風化が多く進行された岩盤ほどRQDの数値が小さくなります。

 

<RQDと弾性係数 減少比率(EL/EM)との関係>

 

上図のようにRQDが70%さえなれば実験室弾性係数を20%で減少するべきであることが分かります。

[弾性係数増減係数]

一般的に地盤は同じ材質の層でも深さによって拘束圧が多きくなると強度特性も変る特性があります。このような特徴を解析に反映する為に基準高さを基準に深さによって一定の弾性係数の増減が描写できます。

高さによる弾性増加量が‘0(zero)’なら弾性係数は一定の値と使用され、‘0(zero)’でなければ基準高さに対しては弾性係数は以下の式のように計算されます。

 

ここで、   :  入力された弾性係数値

 :   弾性係数の増分傾き

 :   値を測定した深さ

 

<弾性係数の増分に対する概念図>

 

上式では現在有限要素法で計算が進行される要素の積分点位置を表します。もし、積分点位置がより高いところに位置する場合は位置によって弾性係数値が0より小さくなる場合が発生するのでこれを防止するために弾性係数 値をそれ以上減らさないで 値を使用します。

 

[ポアソン比()]

弾性係数と共に応力とひずみの関係で比例定数に該当する係数で荷重による材料の体積変形率にみることもできます。 が0.5に近接するほど、非圧縮性(Incompressible)個体を意味し、0に近い程小さな荷重でも体積変化が多く現れる圧縮性材料を意味します。自重による初期応力比のK0 = σh/ σv とも一軸圧縮状態ではK0 =の関係で決定することができます。原地盤の初期応力計算の際にK0 を使用しない場合は入力された から垂直応力に対する水平応力を計算するようになります。地盤材料の一般的なポアソン比の範囲は0.3~0.4以内であり、0.49より大きな数値を入力する場合には数値的なエラーが発生されることがあります。そのため、過圧密状態の地盤の様にK0が1以上の場合にはポアソン比を通して計算できないので直接数値を入力しなければなりません。

 

[せん断弾性係数(G)]

弾性係数とポアソン比を利用してHooke's lawによって次の関係式によって自動計算され、弾性係数を代替する用途で直接入力する場合は弾性係数が変わることになります。

[弾性係数(Eoed)]

弾性係数とポアソン比からHooke's lawにより、次の関係式で計算することができます。

 

[初期応力(K0)]

静止土圧係数で初期原地盤の垂直/水平応力の比を意味し(K0 = σh/ σv)、全体座標系基準で異方性が設定できます。

 

 

まず、全体座標系方向と異方性との関係(平行/非平行)を選択して選択したオプションによって角軸方向または任意方向の測圧係数を設定します。

 

全体座標系に平行する場合には各軸方向の測圧係数を設定するが、作業環境(2D/3D)によって重力方向に対しては'1'以外の値は定義できません。

 

全体座標系に非平行は基準軸を中心に角度を入力して最大測圧係数の方向を任意に設定します。基準軸は最大測圧係数の方向を設定するための中心軸で作業環境が2Dの場合は'X-Y'平面で固定されているため、'X'軸のみ選択することができて初期地盤のせん断応力は全て'0(zero)'となり、3Dの場合には重力方向以外の軸をそれぞれ選択できます。例えば、重力方向が'Z'軸で基準軸を'X'軸と設定する場合に角度は'X-Z'平面上の最大測圧係数の作用角度を入力し、XY、 YZ方向の初期地盤せん断応力は全て'0(zero)'になります。

 

原地盤状態、すなわち地盤が掘削や盛土などによって土が交欄されてない状態に地盤応力状態は静止土圧係数と自重を利用して表すことができます。つまり、大体の解析仮定では施工1段階で原地盤形態をモデル化した後にKoを適用するのが実際と近接した応力状態を得ることができます。しかし、一般的に平らな地盤ではK0を利用して応力を求めることで結構ですが、傾いた地盤ではK0を利用して応力を算定した後に追加の施工ステージを設定して平衡に合うように収束させる作業をするのを推奨します。より詳しい事項は解析ケース>解析制御(オプション)を参考にしてください。

 

浸透流、排水/非排水パラメータ

地盤の透水特性や排水/非排水条件を定義する入力パラメータと単位は次の表のようになります。

 

入力パラメータ

説明

単位
飽和単位重量 飽和状態単位重量

kN/m3

初期間隙比(eo)

初期間隙比

-

不飽和特性

不飽和特性の含水設定(負の間隙水圧-含水比-透水係数比) a

-

排水パラメータ

排水/非排水条件  

-

浸透流パラメータ

全体座標系方向 – 飽和状態透水係数

m/sec

透水係数の間隙非依存性(ck) 間隙比変化による透水係数比

-

非貯留係数(Ss) 流入/流出される水の体積比

1/m

 

<透水パラメータ>

 

[初期間隙比(e0)]

圧密解析及び応力-浸透完全連成解析に考慮される地盤の初期空隙比です。土中の土粒子部分の容積に対する空隙の容積比を意味し、殆どの地盤で空隙比は1以下です。粘土或いは類脂質土になると1より高いこともあるが、試料の採取方法や振動/押し固め有無によって変化するようになります。一般的に粗粒の砂は0.6~0.8程度であるが、密度の高い、粒子分布の良い砂は0.3程度を表します。細粒土の場合、2~3まで表す場合もあります。

   

 

[不飽和特性]

地盤の不飽和特性を考慮する為に設定します。代表的に非定常流浸流透解析で必ず考慮すべき特性であり、その他の地盤の部分飽和度を考慮した非線形(施工ステージ)/圧密解析などを実行する際に設定します。実際の地盤は飽和状態よりは大体一定比率の空気を含む不飽和状態であるのでより現実的な解析結果検討のためには不飽和特性が考慮された非定常流解析を実行しなければなりません。不飽和特性を考慮しない場合は地盤を飽和状態に仮定して解析を実行するので時間による浸透解析結果の変化が検討できません。

 

不飽和特性は地盤の不飽和領域で負の間隙水圧の大きさによる透水係数及び含水比(飽和度)の変化を定義するので圧力水頭(負の間隙水圧)による透水関数と含水比関数を直接定義(別々定義)する方法と圧力水頭-体積含水比(飽和度)-透水係数比の関係を定義(同時考慮)する方法があります。

より詳しい説明は"関数>不飽和特性関数"を参考にしてください。

[排水パラメータ]

応力解析で間隙水圧は定常状態の間隙水圧と非定常状態、即ち非排水条件によって外部作用荷重を土粒子間の水が受ける過剰間隙水圧で分けることができます。過剰間隙水圧が0に近い状態を排水条件と言い、一般的に砂のような透水特性の大きな地盤材料に対しては排水解析を実行します。しかし、粘土の様に透水特性が非常に小さくて瞬間的に載荷される荷重によって水が完全に抜け出すことの出来ない非排水挙動を描写する場合には非排水解析を実行する必要があり、過剰間隙水圧が消散される前の初期状態が最も不安定な状態と見なせます。この時の間隙水圧は圧縮しえによる地盤の体積変化と透水係数によって決定されます。

非排水ポアソン比とSkempton(B)係数は水の体積弾性係数を計算するためのパラメータで、非排水ポアソン比は圧縮性が'0(zero)'に近い0.495を基本値として使用し、Skempton因子は飽和された程度を表すもので1に近い程完全飽和状態を意味します。

非排水解析実行時、材料のタイプは以下の通りで、より詳細な構成方程式についての説明は解析マニュアルCh.4の排水/非排水材料を必ず参考してください。

 

 

排水/ 非排水材料

使用可能な材料モデル

排水

全ての地盤材料

非排水(有効剛性/有効強度)

Elastic、 Mohr-Coulomb、 Drucker-Prager、 Duncan-Chang、

Hoek-Brown、 Strain Softening、 修正 Cam-clay、 Jardine、 D-min、

修正 Mohr-Coulomb、 User-supplied、 Transversely Isotropic

非排水(有効剛性/非排水強度)

Mohr-Coulomb、 Drucker-Prager、 修正 Mohr-Coulomb

非排水(非排水剛性/非排水強度)

Elastic、 Mohr-Coulomb、 Drucker-Prager、 修正 Mohr-Coulomb

 

[透水係数 (kx、ky、kz)]

浸透解析と圧密解析の実行時に使用され、地盤の透水特性(速度)を表す指標です。全体座標系の各方向別透水係数を定義することができます。入力された数値は飽和状態の時の透水係数で不飽和特性関数の定義時に負の間隙水圧による透水係数比(Kunsat / Ksat)を算定する基準となります。

 

[透水係数の間隙比依存性(ck)]

透水係数(permeability coefficient)とは地盤内の地下水が単位時間に対してどのくらい移動するかに対する尺度で、地盤の含水比(water content)と空隙比(void ratio)の変化量 に依存する特性があります。地盤の含水比が大きいほど水の流れることのできる通路の大きさが大きくなる効果によって飽和状態で最も大きな値を持ち、含水比は間隙水圧に依存する特性であるので透水係数も間隙水圧によって変わります。空隙比の変化は圧密解析及び応力-浸透完全連成解析で考慮され、間隙比の変化量は空隙比の初期条件について計算されます。

 

FEA NXでは間隙水圧と空隙比の変化量による透水係数の変化を表すために飽和状態の透水係数 と間隙水圧の変化による透水係数比関数 、空隙比の変化量 による透水係数比を定義する を使用します。不飽和状態で空隙比変化による透水係数は次式のように求められます。

 

 

[非貯留係数 (Ss)]

被圧帯水層で単位水位降下或いは水位上昇によって帯水層の単位体積を通して流出されたり流入される水の体積を意味します。圧縮性流体特性を与えるための係数で直接入力したり自動計算することができます。

浸透及び圧密解析で間隙水圧に対する体積含水比の変化量は次の様に間隙率と飽和度について表せます。

 

 

この中で右辺の一項は飽和条件で体積含水比の傾きを表し、非貯留係数を使用して表す事ができます。

 

また、非貯留係数は材料の排水特性を非排水に設定した時に非排水ポアソン比(vu)と一般パラメータに入力された有効弾性係数(E')及びポアソン比(v')を利用して自動計算されます。