解析タイプ

 

2D 等価線形解析

FEA NX等価線形解析法(equivalent linear method)は自由場解析(free field analysis)2D 等価線形解析(2D equivalent linear analysis)に適用されます。等価線形法は地盤材料の非線形性を等価の線形材料物性値に近似して周波数領域の線形解析を繰り返す解析法です。一般的にひずみの大きさが程度について有効な解析です。

 

等価線形法のプロセスとしてまずは各地層(layer)または要素のせん断弾性係数 と減衰比 の初期値を設定します。一般的にひずみが最小の時の値を使用し、周波数領域解析を行って各地層または要素の最大せん断ひずみ を計算します。有効せん断ひずみは0.65または地震の規模 による の値を掛けて計算し、計算された各地層または要素の有効せん断ひずみも から動的物性関数曲線によるせん断弾性係数 と を決定します。このような解析過程を と が収束するまで繰り返し、一般的に収束誤差が5%より小さいか同じ場合は収束されたものと判断して反復解析を完了して計算結果を出力します。

 

構造物が建設される以前の地盤状態で地震入力に対する地盤の応答を求めるのを自由場解析(free field analysis)というが、自由場解析は設計応答スペクトルを決定するための地表面振動予測、液相化評価のための動的応力とひずみの算定そして地盤または土類構造物の不安定を招来する地震荷重の決定等に主に使用されます。

 

2D等価線形解析は地盤に対する解析だけでなく地盤-構造物の相互作用解析(Soil-Structure Interaction: SSI)を支援します。地震によつ被害を最小化するためには地下構造物に対する耐震設計を実施し、耐震安定性を考慮した構造物安定性検討を行うべきです。構造物が粘土層や砂質土などの軟弱地盤に建設される場合、地震による基盤岩での地震動が地表面で多く増幅されることがあるので地震動による地盤-構造物の相互作用が構造にどのような影響を与えるかに対する綿密な検討が必要です。地下構造物は地上構造物と違って地震荷重に対する構造物の応答が主に地盤の変位によって制御されるので地盤の変位応答に影響を与える地盤の動力学的特性値とモデル化手法が解析の結果を左右します。以下の図は地盤-構造物の相互作用解析時、実際の解析領域を有限要素にモデル化する一般的な内容を示しています。

<解析領域と有限要素モデル化概念図>


境界条件

解析法

モデルの高さ

モデルの幅

伝達境界

周波数領域解析

-

D 2d

粘性境界

時間領域解析

H ≥ d

D 5d

対称境界

有効応力解析

 

D 10d

<表.境界による解析結果の干渉を最小化する為の有限要素モデルの大きさ>

 

地盤-構造物の相互作用問題が一般の構造動力学問題と比べた時最も違う点は地盤領域の無限性によって発生する発散減衰(radation damping)減少です。一般の減衰特性が材料的な摩擦などを通して構造物の運動を減衰させるに比べて発散減衰は波動エネルギーを地盤の無限領域に放出させることで構造物の運動エネルギーが減衰する現象に起因します。したがって発散減衰をモデル化しやすい周波数領域の解析法と材料の非線形性を考慮するための等価線形法を利用して耐震解析を行います。

 

せん断弾性係数 とせん断ひずみ γの関係による解析法は下図の通りです。