浸透解析は大きく定常流解析(steady state analysis)と非定常流解析(transient analysis)で分類することができます。
定常流解析は地盤内部や外部の境界条件が時間に伴って変化しない場合の解析です。そのため、解析領域に存在する流入量と流出量がいつも一致します。一方、非定常流解析(transient analysis)では定常状態の境界条件を適用しても時間さによって流入量と流出量が違って現れることがあります。
地下水が染み入ることのできる透水性の地盤領域(aquifer)が存在して領域の境界に水頭差(head difference)または流量(flux)が存在すると地下水の浸透現象が発生します。
浸透流(seepage flow)は地盤内部の土粒子間の空き空間へ連結された水路にそって流れます。この流れはDarcy の法則を従います。これによると定常流条件で土の体積を通過する浸透流量は透水係数に動水勾配や断面積を掛けたものと一緒です。
Darcy 理論は元の飽和領域で出発しますが、不飽和領域まで適用可能です。
不飽和領域とは、完全乾燥状態でほぼ飽和状態に近い状態までを包括します。飽和土が100%未満に減少するにつれて土粒子間の空き空間には水以外に気泡が存在することになり、飽和土が非常に低い場合には気泡が凹んだ表面形態で土粒子間についています。
飽和土が減少するにつれて間隙水圧は表面張力の影響で徐々に引張状態に発展しますが、このために、負(-) の間隙水圧(negative pore pressure)を吸入圧(suction pressure)と表現することもあります。多くの場合、飽和度が落ちる程吸入圧は増加します。
非定常流解析(transient analysis)は地盤内部または外部の境界条件が時間に伴って変化する場合の解析です。
非定常流解析が定常流解析と異なる点は境界条件が時間と伴って変化する点と体積含水比(volumetric water content)が必要という点です。地下水位が上昇または下降する場合、上昇速度や下降速度と密接な影響要素で不飽和領域の含水比と空隙率などが必要です。
土のダムが完全に乾燥した状態から淡水(water filling of reservoir)を始める場合とある程度含水比を持った状態で淡水をする場合を比較すると、堤体内部の浸透が定常状態まで到達する時間には著しく差があります。したがって、非定常流解析を通して堤体内部が飽和状態に達する時間を予測したり、飽和状態の時と結果比較を通してより経済的な設計変数が導出できます。
|