施工段階解析制御

 

 

施工ステージ(Construction Stage)別に、解析を行うための解析条件を入力します。最終施工ステージを定義して、時間依存特性を

考慮する材料の特性と反映させる幾何学的非線形解析機能を選択します。クリープと乾燥収縮に対してより正確な解析を行うために、

持続期間(Duration)が長い施工ステージに自動生成されるステップの数を指定することもできます。また、施工段階に含まれた積載

荷重を構造解析の後、自動生成される荷重組み合わせでLive Load(CS)に含ませることができます。

 施工段階解析を行う時、考慮することができる項目は次の通りです。

  • 時間依存性材料の特性

1. お互いに違う材齢を持つコンクリート部材のクリープ

2. お互いに違う材齢を持つコンクリート部材の乾燥収縮

3. 時間の経過によるコンクリート部材の強度発現

  • 施工ステージの表現

1.任意の材齢を持つ部材の生成や消滅

2.任意の載荷時点を持つ荷重の載荷や消去

3.境界条件の変化

 

時間依存特性を考慮した施工段階解析を行うための手順は次の通りです。

1.構造物をモデリングします。

2.クリープや乾燥収縮のような時間依存性の材料の特性を定義します。この時時間依存性材料の定義はACIやCEB-FIPのような規準を

選択して生成またはユーザーが直接定義することができます。(時間依存性材料(クリープ/乾燥収縮) 時間依存性材料(圧縮強度))

3.定義した時間依存性材料を一般材料と連結します。これにより時間経過によるコンクリート材料の変化を自動で計算して考慮します。

(時間依存性材料で連結)

4.実際の施工の手順を考慮して施工段階及びステップを生成します。(施工ステージの設定)

5.あらかじめ作っておいた要素グループ、境界条件グループ、荷重グループを利用して施工段階を定義します。(施工ステージの設定)

6.任意の方法で解析条件を指定して、構造解析を行います。(施工段階解析制御解析実行)

7. 施工段階解析結果と完成係の解析結果を必要な方法で組み合わせます。

施工段階解析を行うための流れ

Note
建物用の施工ステージウィザード
機能を利用すると段階4、 5で必要になる作業の大部分は自動で入力されます。

 

 

 

リボンメニュー : 解析 > 解析制御 > 施工段階解析制御

 

 

 

施工段階解析制御ダイアログ

c.jpg最終ステージ

施工段階解析の際、構造物の最終施工ステージ(Final Stage)で、考慮する施工ステージを選択します。

最終ステージ
定義されている施工ステージのうち、最後の施工ステージを最終施工ステージ(Final Stage)として適用します。

他のステージ
定義されている施工ステージのうち、最終施工ステージとして適用する施工ステージを選択します。

 

c.jpg解析オプション

非線形解析を含む : 幾何形状の変化を反映する幾何非線形解析を含めて施工段階解析を行います。

独立ステージ : 各施工段階で独立モデルを構成し解析を行います。独立モデルの幾何非線形と時間依存効果を同時に

考慮することはできないし、非線形解析制御オプション(ダイアログの非線形解析部分)を除いた他のオプションは設定する

ことができません。大変形を考慮した構造物の逆方向施工段階解析に使うオプションです。

累積ステージ : 施工段階の結果を累積しながら非線形解析を行います。累積モデル幾何非線形解析の時には時間依存

效果の考慮は勿論、ケーブルのプレテンションタイプを選択することができるし、接線変位の計算も可能です。斜張橋などの

大変形を考慮した施工段階解析の時、主に使います。

時間依存性解析を含む : 時間の変化伴う構造材料の弾性係数の変化とクリープ及び乾燥収縮を反映し、解析を行います。

Note

幾何非線形解析では要素のI, J端でのみ結果が出力されます。

 

c.jpg時間依存性材料の特性

解析オプションで、時間依存性材料の特性を含む、チェックボックスをオンにした場合、次の事項を入力します。クリープ及び乾燥収縮と

関連する構造材料の特性は、"時間依存性材料(クリープ/乾燥収縮)"で定義します。

クリープ & 乾燥収縮
クリープと乾燥収縮を考慮する場合、チェックボックスをオンにして次の事項を入力します。

タイプ
クリープと乾燥収縮の中で考慮しようとする項目を選択します。

クリープ

クリープ解析の収束
クリープを考慮した解析を行う場合、繰り返し解析の収束条件を入力します。

繰り返し回数 : 最大繰り返し回数

許容誤差 : 収束誤差

ユーザー定義 クリープ係数
ユーザーが入力したクリープ係数のみを適用して施工段階解析を行います。

クリープ係数は、施工ステージ用のクリープ係数から要素別に入力します。

クリープ用の内部時間段階
クリープを考慮し、1つの施工ステージ内で分割解析を行う場合、その内部ステップ数を入力します。

Note
内部ステップは解析過程でのみ適用され、内部ステップごとの解析結果は出力しません。

大きい時間間隔の自動分割
施工ステージの持続期間(Duration)が長く1つの施工ステージ内で分割解析を行う場合、持続期間ごとの分割数を

入力して内部ステップ数を自動的に決めます。

Note
内部ステップは、解析過程でのみ適用され、該当のステップに対する解析結果は出力しません。

PC鋼材の引張損失効果 ( クリープ&&乾燥収縮 )

クリープと乾燥収縮によるPC鋼材の緊張力損失効果を考慮する場合に使用します。PC鋼材の緊張力損失特性は

 PC鋼材の材料と断面で定義します。

圧縮強度の変化

材齢による圧縮強度の変化を弾性剛性に考慮する場合に使用します。構造材料の弾性係数の変化は時間依存性材料(圧縮強度)

定義します。

Post C.Sに弾性係数の時間依存効果を適用

チェックする場合はPost C.Sで最終段階の弾性係数を適用します。チェックしない場合はPost C.S段階でDB材料の弾性

係数を適用します。

PC鋼材の引張損失効果(弾性収縮)

弾性変化によるPC鋼材の緊張力損失効果を考慮する場合に使用します。

 

c.jpg非線形解析

解析オプションで、非線形解析を含む、のチェックボックスをオンにした場合、次の事項を入力します。

最大繰り返し回数/荷重ステップ
荷重段階別の最大繰り返し回数を入力します。

収束判定条件
収束可否を判断する基準を選択します。エネルギー(断面力x変位)、変位、荷重の制限値を入力します。

Note
解析の収束条件や収束判定値の決定は、さまざまな自由度の影響をすべて考慮した制限を使用します。
例えば、変位の場合、ある施工ステージで発生した変位を{D1}、すべてのステージの変位を累積した全体変位を{D2}とすると、
制限は Convergence_Criteria_fomular.jpg と、表現され、この値基準値より小さい場合、収束したと判断して繰り返し解析を終了します。
 

c.jpgケーブルプレテンション荷重制御

ケーブル要素の初期張力を適用する方法を指定します。

内部の力 : 初期張力を内力で適用

外部の力 : 初期張力を外力で適用

追加 : 緊張力を導入する前のケーブルの張力に、ここで適用した緊張力を出し合わせてケーブルの張力を算定する方法

変更 : 緊張力を導入する前のケーブルの張力は無視して、単にここで適用した緊張力をケーブルの張力として算定する方法

Note
初期張力を内力で適用すれば、 ケーブル要素の断面力は支持構造物の剛性による変形によって初期張力より減少されます。
外力で適用する場合は初期張力を導入する施工段階に初期張力を支持構造物に荷重で適用するので、 該当の施工段階でケーブル
要素の断面力は初期張力と同じになります。

 

c.jpg合成断面

合成断面機能は異なる施工段階が適用された合成断面の解析結果を要素別に出力します。

この結果は結果>>結果テーブル>>施工段階解析用の合成断面で確認することができます。

各パーツ別の結果出力 : 構造解析時に合成断面の各部分に対する計算が実行されます。

 

c.jpg施工段階荷重で分離する固定(死)荷重ケース

施工段階解析で適用された積載荷重(固定荷重)を施工段階解析の後に自動生成された積載荷重(CS)荷重条件に貯蔵するために

該当の荷重条件を指定します。すなわち、解析の後荷重組合わせを行う場合、設計基準別荷重係数を違うように適用しようとすると、

固定荷重と積載荷重による解析結果が分離しなければならないのでこれを反映したことです。

荷重ケース : 該当の荷重条件

【追加】 : 荷重条件をリストに登録

【削除】 : 荷重条件をリストから削除

Note1
施工段階別解析を遂行すれば、次のような荷重ケースが自動生成される。

 

荷重ケース

内  容

Dead Load (CS)

施工段階に含まれた荷重の中で固定荷重に対する解析結果

Live Load (CS)

施工段階に含まれた荷重の中で施工段階解析制御の施工段階荷重で

分離する固定荷重ケース機能で指定された荷重ケースに対する解析結果

Creep (CS)

クリープによる解析結果

Shrinkage (CS)

乾燥収縮による解析結果

Tendon Primary (CS)

テンドンの緊張力による解析結果

Tendon Secondary (CS)

テンドンの緊張力と構造物の不静定条件による解析結果(2次応力

Summation (CS)

上の条件をすべて出し合わせた解析結果

 
Note2
Tendon Primary(CS)とSecondary(CS)
Tendon Primaryは緊張力によって発生した部材力で、Secondaryは緊張力と構造物の不静定条件によって発生する部材力を意味する。
解析結果を確認する時はそれぞれ内力と外力で見なして結果を確認することができるが、設計時にはPrimaryから出た部材力は中立軸の
移動を考慮して再び内部的に計算して内力として使用し、Secondaryから出た結果はそのまま外力として作用する。

 

【施工段階解析の制御データの削除】
施工段階解析条件を削除します。この場合、建物の施工段階解析は行いません。